映画評「ドクター・スリープ」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2019年イギリス=アメリカ合作映画 監督マイク・フラナガン
ネタバレあり

「シャイニング」の続編としてスティーヴン・キングが書いた作品の映画化。従って、映画「シャイニング」(1980年)の続編にも当たるが、こちらはホラー映画というより超能力者VSヴァンパイアの図式で進行する一種のサスペンス風味である。

前作で頭の中の友人と会話していた少年ダニーが成長(ユワン・マクレガー)、ホテルでの恐怖体験のトラウマの為に父親に似た酔いどれになるが、ニューハンプシャーの小さな町フレージャーに降り立ち、そこで酒を断って堅実に生きて行こうと誓う。ある時、間借りした部屋の黒板上の壁に文字が浮かび上がる。彼と同じ超能力 “シャイニング” を持つ少女アブラ(カイリー・カラン)と彼の能力とが感応し合った結果である。
 アブラは、血ではなく優れた能力を持つ人間の生気を吸って生き永らえるヴァンパイア族が野球少年の生気を吸って殺すところをキャッチ、それをファミリーの女親分ローズ(レベッカ・ファーガスン)に気付かれる。ローズは、物凄い超能力を持つアブラの生気を吸い、死をもたらす脅威の排除と不老長寿の一石二鳥を狙って、彼女の居場所を探り、配下の連中を送り込む。
 アブラは感応したダニーおじさんに頼るが、トラウマのある彼は当初は及び腰である。しかるに、ホテル以来の付き合いである霊体ディックにけしかけられ、彼女と力を合わせて一味を倒すことを決意、霊体たちが巣食っているオーヴァールック・ホテルにローズをおびき寄せることにする。

というお話で、正編とは大分趣が違う。そこに居ないのに居るというテレパシーとテレポーテーションの間のような超能力の感覚が面白い一方、左脳派としては頭の中の出来事なのか幻術なのか曖昧なのが気になるものの、超能力合戦の様相が全面的に披露される中盤が気に入った。終盤に至って「シャイニング」の再現のような場面が続き、続編的なムードが高まる。

そもそもキングの三文小説みたいな設定のお話をあれだけ格調の高い映画に仕立てたスタンリー・キューブリックの才覚はやはり大したものと感心しつつ世評が高すぎる(しかし、キングが文句を言うのはあの作品の映画的価値を解っちょらんと言うしかない)正編に比して、面白さで劣るものと僕は思わない。こういう馬鹿馬鹿しいような忍術合戦映画はたまに観る分には非常にヨロシイ。

アブラガダブラ。

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