映画評「十二人の死にたい子どもたち」

☆☆★(5点/10点満点中)
2019年日本映画 監督・堤幸彦
ネタバレあり

SNSを通じて自殺願望のティーンエイジャー12人が希望の安楽死を遂げる為に廃病院の地下に集まる。筆頭は企画者で会場である廃病院の元院長令息・高杉真宙で、以下杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、黒島結菜、橋本環奈、吉川愛、萩原利久、渕野右登、坂東龍汰、古川琴音、竹内愛紗。さすが男女平等の現在だけに、男女6人ずつ素晴らしい(笑)。

早速実行かと思いきや、13人目(死体?)がいることに疑問が提示され、まずその謎から解くことになってお預けにお預けになるというお話。7ヶ月前に見た「三尺魂」に続いて今年二作目の自殺願望者複数名の同時安楽死をめぐる作品で、結論は前述作同様に推して知るべし。

車椅子でやって来たと思われる13人目が誰で、何の為にここにいるのか、誰が連れて来たのかという謎を巡ってあれやこれや話をするうちに12人の死にたがる事情が解って来る。中には相当くだらない理由もあって、そういうことを考えれば、作者には安易な若者の自殺願望を止めさせようという狙いがあると思われる。
 だから、くだらないと酷評する人の大半はそうした願望に縁がない人で、縁がある人なら或いは励まされるところもあるかもしれない。

謎解きで解ってくるものの中には疑問百出で噴飯するものもなくはないが、僕がそれ以上に気になったのは12人という人数の多さによる混乱。特に男優陣数名は似た感じの優男風の役者が多く誰が誰だが解らなくなるところ頻出。眼鏡は通常差別化には便利なのだが3人もいるので差別化にならないどころか混乱を助長する。

しかし、映画ファンなら12人になった理由が解らないと困る。そう、「十二人の怒れる男」(1957年)のパロディーである。あの映画に倣っているから、一人の挙手により簡単に終わるものが簡単に済まなくなるである。到底あの作品ほど充実した討論というわけには行かないし、あの作品のパロディーは「12人の優しい日本人」(1991年)を初め少なくないのでまたかという気にはさせられるが、下手にいじらずに予想通りに展開してくれるのが却って嬉しいではないか。

原作は冲方丁で、映像に移したのは堤幸彦。

コアな映画ファンの比率が低く若い投稿者の多い【Yahoo!映画】だから仕方がないのかもしれないが、僕がざっと斜め読みした中に「十二人の怒れる男」を引用した人が一人もいない。

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