映画評「戦う翼」

☆☆★(5点/10点満点中)
1962年アメリカ映画 監督フィリップ・リーコック
ネタバレあり

荒野の七人」(1960年)で俄然人気の出たスティーヴ・マックィーンが「突撃隊」に続いて主演した戦争映画で、その後傑作「大脱走」(1963年)と戦争映画が続く。その中間に挟まれた本作は、戦争映画・戦闘機マニア以外には受けそうもない平凡な出来栄えで、今回二回目か三回目かになるが、初めて見るように錯覚するくらい全くお話の記憶がない。

英国に駐在してドイツ軍と戦う米国空軍の将校マックィーンは少々ひねくれた性格で、抜群の操縦術を信用し隊長としてついてくる者は少なくないが、仲の良いロバート・ワグナーですら心底からは好いていず、ワグナーが恋仲になったロンドン美人シャーリー・アン・フィールドに手を出そうとしたことから不和になり、部下の放逐の末による死を以てその不仲は決定的になる。

というのがドラマ部分のお話で、その間に空中での戦闘やアクロバティックな飛行などの見せ場が入ってくるが、戦闘場面の大半は戦時中の実録映像との組み合わせで余り気勢が上がらず、マックィーンがプロペラに不具合が生じた戦闘機を立て直してドーヴァーの白い崖の上に着陸を試みる幕切れに至り漸く盛り上がる。

ドラマ部分では、先に帰営したワグナーと、寄り道してシャーリーにちょっかいを出そうとするマックィーンとのカットバックにおいてフィリップ・リーコック監督(実際には映画会社かもしれないが)のたどたどしい処理が目立ち、それ以外は何となく無難に進行させた感じで興趣が湧きにくい。

ただ、主人公の厭世観に裏打ちされるようなひねくれ方が興味深く、彼の死を求めているかのような言動は現在言う【戦争中毒】に当たるわけで、原題The War Loverを現代的に訳せば【戦争中毒】になるだろう。50年以上前に軍人のこうした病相を示そうとした点は買えるし、マックィーンも性格演技になかなか頑張っている。

マックィーン主演でもそれほど有名な作品ではないから、この作品の題名を知っている人はほぼ60代以上だろうねえ。40代以下でご存じならかなりの映画ファンじゃね。

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