映画評「わたしに会うまでの1600キロ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督ジャン=マルク・ヴァレ
ネタバレあり

5か月前に観た「奇跡の2000マイル」というオーストラリア映画と全く同工異曲なので、大分損をしている。

アメリカ西海岸にパシフィック・クレスト・トレイルという4000キロ以上に及ぶ自然歩道があり、その5分の2ほどを1990年代に踏破したシェリル・ストレイドという女性の実話である。

リース・ウィザースプーン扮するシェリルは、その数年前に頼りになり愛する母親(ローラ・ダーン)を失ってから荒んだ人生を送り、麻薬やところ構わぬ青姦、堕胎の末に不和となった夫ポール(トーマス・サドスキ)と離婚、やがて母親が愛した自分を取り戻す苦難の旅に出ようと思い立つ。

旅の描写の間に頻繁に挿入されるフラッシュバックで浮かび上がってくるのはそんなお話で、邦題から想像されるのは自分探しのような内容ながら、勿論一種の自分探しではあるものの、彼女が旅を始めたのは自分に苦行を課すことにより母に対し贖罪をする為であろう。
 ここが同じように実話の映画化であった「奇跡の2000マイル」のヒロインが苦難の待つ旅そのものを楽しもうと始めたのとは大きく異なる。かの作品のヒロインが何故危険な旅に出たのか我々に解りにくかったのに対し、本作のヒロインの心情はかなり明確に映る。こちらのほうが関心を持ちやすく、ドラマ映画として優れた印象を与える。

反面、そのドラマ性を高める手法であるフラッシュバックは、同時に弱点でもあって、余りに多用されるので煩わしい印象を与えかねない。少なくとも僕にはかなりうるさく思われた。

監督は「ダラス・バイヤーズクラブ」のジャン=マルク・ヴァレ。実話の映画化という共通性はあるが、感興と構成の点で少し落ちる。

二番煎じのお茶も、映画としては一応【買い】で、それほどまずくない。

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