映画評「ヘラクレス」

☆☆★(5点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督ブレット・ラトナー
ネタバレあり

CGの普及で神話ものや古代アクションが復権したのは悪いことではない。にわかにギリシャ神話で有名な半神半人の怪力ヘラクレスが人気沸騰、先般「ザ・ヘラクレス」を観たばかりというのにまた登場した。
 この他に「ヘラクレス 帝国の侵略」という日本劇場未公開作もあるらしい。この3本目については全く観る気はないが、二本のうちではコミックの原作がある本作のほうが、大衆映画における、こうした有名なキャラクターの扱いが「解っているなあ」と楽しめる。

勇士ヘラクレス(ドウェイン・ジョンスン)が、トラキアの王女ユージニア(レベッカ・ファーガスン)から国を守ってほしいと、仲間たち(予言者イアン・マクシェーン、紅一点イングリッド・ボルゾ・ベルダル他3名)と共に傭兵に雇われ、住民たちを鍛えるが、戦い終わって日が暮れてみると、敵対した反逆者が実は善なる者で、前王を殺して後釜に就いたコテュス王(ジョン・ハート)こそ娘の王女や孫まで殺そうとしている悪漢と判明、命を賭して彼の軍勢に向っていく。

というお話は実はどうでも良く、全編白兵戦的なアクションで満杯、それぞれの見せ場が長すぎない程度に分割してもたれないのが良い。アクションの見せ方が「ザ・ヘラクレス」と違ってぐっと正攻法なのも良い。さすがブレット・ラトナーといったところである。

「どうでも良い」と述べた物語だが、前述したようにヘラクレスの扱いがなかなか気が利いている。「ザ・ヘラクレス」はオリジナルのギリシャ神話に中途半端に拘りつつ大きく改変した為に「こんな改変は許されん」と僕を怒らせたが、本作は「ヘラクレスはゼウスの息子でも何でもない、ただの強い男だった」と基礎を全く変え、一部のエピソードだけ利用しているのである。ある意味論理的であるから、これなら文句を付ける筋合いはない。
 従って、最後の方になってトーンを下げて「ゼウスの息子ではないのかも」という風に表現を曖昧にしたのは却って問題。半神であれば仲間も必要ないであろうし、到底人間が敵うわけもなく、上記設定通りと考えたほうが合理的だからである。

戦術には「レッドクリフ」の影響があろうか。盾と矛のお話は中国の“矛盾”の語源から借用しているようで、関係者に中国史好きかいるのかもしれない。

半神半人ではなく、阪神巨人だったりして。

"映画評「ヘラクレス」" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント