映画評「ベイマックス」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ
ネタバレあり

ディズニー製CGアニメ。原作はまたまたマーヴェル・コミックスでござる。

近未来、サンフランソウキョウ(サンフランシスコ+東京を合わせた名前)という架空の都市で、日本人若しくは日系人の天才少年ヒロ(声:ライアン・ポッター)が、進学することに決めた大学の火災で、兄タダシ(声:ダニエル・ヘリー)と、自分の発明品“マイクロボット”を認めて合格させてくれた教授(声:ジェームズ・クロムウェル)を失って喪失感に苦しむ。
 ところが、家で打ち身をしたところ兄の残した介護ロボット“ベイマックス”(声:スコット・アツィット)が起動、彼の手にただ一つ残っていた寄り集まる性質を持つ“マイクロボット”が磁石の役目を果たして、火事で全滅していたはずのその集合体のある場所に導く。やがて彼らはそこで隈取の仮面をした何者かに襲撃される。
 “ベイマックス”は介護ロボットの特性を生かしその体質を分析、ヒロはそのセンサー能力を格段にアップさせて隈取男の居る場所を特定すると、男の正体が何と死んだはずの教授と判明する。
 “ベイマックス”と科学力で高い戦闘能力を得た5人組は教授と戦うが、仲間たちに制御されたヒロは彼を殺さない。

というお話は、「スパイダーマン」(少年の境遇など)と日本の戦隊ものの要素を合体させた感じで、さらに「くもりときどきミートボール」に似ている部分も相当ある。時に「トイ・ストーリー」を思い出させ、任務に忠実なロボットという点で「ウォーリー」と響き合う。

といった次第で、余り新味に拘ると面白くないということになるが、ハイブリッド具合によって程々に楽しめる。復讐の虚しさをメッセージとしているのはテロが頻発している現在において現実的であると言うべきで、身に染みるものがある。

しかるに、お話には幾つか大きな穴があり、その中でも少年が余りに天才すぎるのが却って物足りない。あれだけの能力があれば、大学で教わるものなどないはずで、即教授として赴任しても良いくらい。そんな彼が能力の劣る兄の残したロボットをベースに戦い始めるという設定に少々矛盾を感じ、すっきりしないのである。

最初の戦闘ロボット対決におけるロボットの二重人格性が、本番の“ベイマックス”に応用されているのはなかなか上手い。

AllcinemaのK氏が同じ趣旨のコメントを残しているが、地元作品が多分に有利な扱いを受けるとは言え、ハイブリッド的な本作がオリジナリティーに富む「かぐや姫の物語」を押しのけてアカデミー長編アニメ賞を獲ったのには首を傾げる。

アメリカン・アニメにおいては愛と友情が主たるテーマになってきたようであります。

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