映画評「SP 革命篇」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年日本映画 監督・波多野貴文
ネタバレあり

いよいよ後編であります。単なる続編ではないから基本的に脚本の金城一紀、監督の波多野貴文などスタッフもキャストも変わっていない。

遂に与党幹事長の香川照之がSP係長の堤真一を実行部隊トップに据えた姦計の正体が判明する。即ち、議事進行中の国会議事堂を用意周到に占拠し政府要人の旧悪を暴こうとするのである。
 堤は少年時代に父親が元総理大臣の山本圭に汚職の罪を着せられて自殺に追い込まれた為復讐の機会を狙って、それが終ったら潔く捕縛されるつもりなのだが、実はこの考えは彼だけのもので香川幹事長の本当の魂胆は要人を政界から追い払い、堤を説得するふりをして成果を見せつけて国のトップに就き、具体的な作戦を練った連中をブレーンとした新国家体制を築こうというものである。

が、ここで「静かにしていろ」と事なかれ主義の上司に言われたSPの岡田准一君たちが各階に配置されたテロリストたちを巧みな戦略で掃討、衆議院本会議場に乗り込んだ為香川の悪計は脆くも崩れ去る。

前作でSPとの対立の図式にあった公安は今回は狂言回し程の活躍もせず、実質的にテロリスト・グループとSPとが対峙する図式であるわけだが、上司から「大人しくしていなさい」と言われたものだからお話が三分の二くらい進行するまで活躍らしい活躍がなく、その間隙を埋めるのがテロ・グループの裏方実は指導者たる官僚たちである。親切にも彼らは国会占拠事件について一々解説してくれるポジションにいて、作劇的になかなか興味深い。堤の中間的立場も物語を多層的にしていて楽しめる。

かくしてアクションよりサスペンスに重点を置いた判断がよろしく、人間現金なもので、面白くなってくれば前編で指摘したカメラの揺れなど一向に気にならなくなる。若干ハードボイルドに徹しきれない部分も出て来たものの、同じようにテロをテーマにしながら「アマルフィ 女神の報酬」の幕切れのようなメソメソ感がないのは良い。

最終盤については見てのお楽しみといったところにしておくが、続編が作れそうな、若しくは作りそうな雰囲気を匂わせて終わっている。果たして、実際作られますか?

五・一五事件の官僚版、但し相当軽量版てなとこですか。

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