映画評「パリより愛をこめて」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2010年フランス映画 監督ピエール・モレル
ネタバレあり

96時間」でリュック・ベッソンの脚本を映画化して快作に仕立てたピエール・モレルが監督したサスペンス・アクション。脚本はアディ・ハサックが書いているが、原案はベッソンで、今回も快調と言うべし。

CIAの見習いもしている米国大使の補佐官ジョナサン・リース・マイヤーズがフランス人フィアンセのカシア・スムトニアクといちゃいちゃする或る日、しかとは解らない目的の為にフランスに入国してきた特別捜査官ジョン・トラヴォルタに付いて行動するが、実は麻薬密売の現場である中華料理店で捜査官がいきなり発砲して激しい銃撃戦になった為目を白黒させる。これを端緒に麻薬を資金源としてテロを起そうとしているグループを叩きつぶそうとしていることが判明、やがてそれが具体的にサミット会場での爆発サスペンスに繋がっていく。

ベッソン脚本作としては長い不調が嘘のように「96時間」は有無を言わせぬ力技で直線的に進行して好調だった。本作はあそこまで直線的でない代わりに「007/ロシアより愛をこめて」をもじった題名からも伺われるようにスパイ映画としての面白味が加わり、お楽しみが増している。

フィアンセの存在も二重の布石となっていて楽しめる。一つは序盤のソフト・ムードとそれ以降のハードなムードとの対照を成す効果への布石、もう一つはミステリー的展開への布石で、後者について具体的には実際に見るにしかず。

マイヤーズが麻薬の入った大きめの壺を持ち歩くのはそれだけでユーモラスだが、「レオン」でも見せたベッソンらしい趣味が顕れているので、付き合いの多い方はニヤッとするはず。

肝心のアクション描写は近年の作品としては上等の部類。1970年代の作品に比べると、情報的に不満は残るものの、見応え十分でござる。監督をしたモレルに変な芸術的色気がなくモタモタしないのが何よりヨロシイ。

ベッソンさん、この調子で次も頼みますよ。

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