映画評「悪夢のエレベーター」

☆☆★(5点/10点満点中)
2009年日本映画 監督・堀部圭亮
ネタバレあり

木下半太の小説の映画化で、俳優・タレントの堀部圭亮の監督デビュー作(兼共同脚色)。

内野聖陽が野球場で二軍戦を観ていて自分の人生について考えている。というプロローグはこの後の展開を考えるとかなり邪魔。

そこから突然本番に入り、若いサラリーマンらしい斎藤工が故障したエレベーターの中で眼を覚まし、空き巣の内野、自殺志願の少女・佐津川愛美、ジョガーのモト冬樹と同病相憐れむことになる。モト冬樹が先般観た「曲がれ!スプーン」を思い出させる超能力者で、愛美嬢の後ろ暗い過去や内野の商売を透視してしまう、勿論彼の秘密も。
 浮気相手・芦名星の部屋から臨月の妻・本上まなみの待つ家に駆けつけようとした斎藤は、三人から「このまま死んでしまったらまずいだろう」と迫られ、ボイスレコーダーに本音を残そうとしたところで、屋上から飛び降りて自殺しようとする少女が下りエレベーターに乗っていることなど不審な点に気付いたところで、実はグルだった三人に眠り薬を注射されてしまう。

というところまでが言わば三部構成の第一部。

この三人が斎藤氏を嵌めるに至る経緯を描くのが第二部だが、内野が本上まなみから夫の素行調査(実際には心情調査らしい)を依頼された探偵であることさえ示してくれれば大体見当が付くのであれほど丹念に描かなくて良い。具体的には、ブラック・コメディー度を深める第三部への布石として少女が探偵事務所で働くことになる部分はきちんと扱う必要はある一方、モト冬樹の部分は大分整理できる。ここで退屈する人が多いと思う。

ネタばれをポリシーとする僕も第三部の詳細についてはエチケットに抵触するので伏せるしかありませんなあ。基本アイデアは悪くないものの、些か無理が目立つとだけ言っておきましょう。

と言った次第で、現在活躍中の映画作家で言えば内田けんじくらいの才能に任せたらもっと面白くなったお話のような気がする。

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