映画評「素晴らしき日曜日」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1947年日本映画 監督・黒澤明
ネタバレあり

黒澤明の長編第6作で、戦後第2作。再鑑賞作品。

戦地から帰国したばかりの貧しい青年・沼崎勲と恋人・中北千枝子は日曜日にしか会えず、本日の持ち金は併せて35円(饅頭1個5円、コーヒー1杯5円の時代)。35円でいかに一日を過ごそうかという物語である。

デート・コースは自ずと限られ、動物園に行けば動物が哀れな人間とダブり、スピードくじは外れ、持ち金を併せて何とかクラシック・コンサートを聞こうとするが、ヤクザがダフっていて金が足りない。そこで彼女は野外音楽堂で彼に透明なタクトを振らせようと、突然観客に向かい「私たちに拍手を送ってください」と嘆願する。

それまでの写実的な演出が突然演劇的な実験的なものに変わり、我々観客を驚かせるが、この場面は劇中の二人だけではなくスタッフを含めた多くの日本人の希望を象徴する。

浮浪児、コーヒーにミルクを入れただけで倍額にする喫茶店、切符に5円上乗せして儲けるダフ屋等、人心もひどく荒む戦後の荒廃した日本を即実的に描き込んだ上での演劇的手法は、かなり効果を上げ、戦後困窮していた人々に希望を与えたはずである。勿論現在の我々にも。

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