映画「松川事件」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1961年日本映画 監督・山本薩夫
ネタバレあり

「下山事件」「三鷹事件」と並んで1948年に起きた3大鉄道ミステリーの一つ「松川事件」を扱った山本薩夫の社会派ドラマ。

事件とその裁判の詳細はものの本などによって戴くが、まず宮城の松川で電車脱線事故が起きる。同地の警察は国鉄を首になった元工事関係者の赤間(小沢弘治)を別件で逮捕し、脅迫、誘導等やりたい放題して自白書をでっち上げ、彼の自白を元に19人を逮捕する。

この警察の出鱈目ぶりも凄まじいが、裁判所特に地方裁判所の裁判の出鱈目さにも唖然とする。一時期流行ったプロレスのレフリーみたいなもので、最初から有罪を決め付け、被告側の話は一切無視する。ただ被告が勝手に話したり、被告が証人たる警察官に質問をする場面は一般的な裁判映画ではまず見たことがなく、違和感を覚える。事実なら仕方がないが、些か原始的であり鑑賞者の情緒面を考えるとマイナス効果になりかねない。

二審は多少まともになったかと思えるが、足に不具合があったのに有罪となる者や使用した道具はあきらかに国鉄関係者が使う物でもないにも拘らず3人を除いて有罪となり(4人が死刑判決)、理不尽さはそのまま。

映画は結審する2年前に作られているので未来に期待を持たせた形で終わっているが、その予言通り1963年に全員無罪となっている。死刑を宣告された一人が現場に絶対いられないことを示す証拠を検察が握りつぶしていたことが大きな決め手になったとのことである。

それはともかく、社会派大作に実績のある山本監督だけにがっちりと描き上げ、あっという間に2時間40分が過ぎるが、役者がかなりオーヴァーアクトで興醒める。社会主義的な作りに鼻白む部分あり。

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