映画評「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」(地上波放映版)

☆☆☆(6点/10点満点中)
2020年日本映画 監督・外崎春雄
ネタバレあり

TVドラマやTVアニメを見ない人種なので、"劇場版"といった角書(つのがき)がつく日本映画は大体において観ないが、本作はコロナ禍の制限下で、或いは、だからこそ日本歴代1位の興行収入を上げた作品なので、TVで無料で見られるとならば、後学の為さすがに観る。
 CMによる中断こそあれ、フジテレビ系列による完全ノーカット放送。スタジオジブリ作品に対する日本テレビの態度より徹底していて、エンディング・ロールも完全に流した。あっぱれ。
 僕は、中断によるストレスを回避する為に事前に録画したものからCMをカットしておいた。その効果たるや絶大である。但し、作者の意図しないフェード・アウトがあるのが難点。

吾峠呼世晴のコミックもTVの前段も観ていない者には首を傾げるところが数か所あるが、仕方がない。例えば、列車の名前は “無限” だが、切符の目的地は "夢限" となっていて、その関係性(言葉遊び?)など。その他Wikipediaによって解けた疑問もある。

時代は大正らしい。闇に乗じて人を襲う鬼を滅ぼすべく、竈門炭治郎(声:花江夏樹)は、同僚の我妻善逸(声:下野紘)、嘴平伊之助(声:松岡禎丞)と、無限列車に乗る。そこには鬼滅隊の柱・煉獄杏寿郎(声:日野聡)もいる。早くも頭(かしら)ならぬ柱は鬼を探知して速攻で平らげるが、切符に仕込まれた導眠剤により不覚にも全員眠ってしまう。
 それでも彼らは尋常ではない、鬼が狙っている精神の核が鬼の侵入を許さず、主人公たる炭治郎は夢を見せられている間にも幻覚から逃れる方法を発見、やがて列車自体が鬼であることに気付き、その元である下弦の鬼(声:平川大輔)を他のメンバーとの協力の下に倒す。
 するとすかさず上位の鬼である上弦の参(声:石田彰)が現れ、煉獄と大格闘を演ずる。無敵の上弦の鬼は、吸血鬼の親類らしく、日の出と共に逃げていく。瀕死の柱は炭治郎に言伝(ことづて)をして死ぬ。その死は烏(鎹鴉というらしい)により他の柱に伝えられる。

お話の構図は単純で、鬼滅隊と二種の鬼との戦いが描かれるだけである。

特技・性格の違う隊の顔触れを見ていて「ファンタスティック・フォー」(2005年)を思い出すうち、なかなか興味深い夢をめぐるお話に入っていく。些か長くて退屈しないでもない二様の闘いよりずっと面白い。鬼が夢の中に入っていくという設定について「インセプション」(2010年)の影響と言う人がいるが、言われてみればそんな気がする。

といった具合に、色々な映像体験をしている老人には必ずしも新味があるわけではないし、時に出て来るコミカルな表現は全体のトーンを考えるとなくもがなだが、“~の呼吸”といった一種のアイテム群が若い人には受けた模様。

クイズ番組でも色々とこのアニメに関する問題が出題されている。しかし、不滅の記録と思われた「千と千尋の神隠し」の興行収入を超える作品が現れるとは! 結局1位も2位も伝奇的な印象を残す作品というのも誠に興味深い。

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