映画評「ルース・エドガー」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2019年アメリカ映画 監督ジュリアス・オナー
ネタバレあり

ティム・ロスとナオミ・ワッツの白人夫婦がエチオピアの隣国エリトリアの難民少年を引き取って白人のような名前を授けてから十年後のこと。
 頗る優秀な黒人生徒になった彼ケルヴィン・ハリスン・ジュニアが、黒人の歴史教師オクタヴィア・スペンサーに出された課題について書いた作品が過激思想と誤解され、大した意図もなく友人と共有していたロッカーから危険な火花を発見されて、両親を巻き込んで大騒ぎに発展する冤罪で追い込まれる。
 自分の生徒に望む役割を宛がう傾向のあるベテラン教師の彼女は、麻薬絡みで黒人生徒を排除し、東洋人の女生徒をずっとセクハラの被害者扱いにするなど、厳格すぎて生徒の評判は頗る悪い。両親も大切に育てて来た彼を信じたい気持ちがあるが、完全には疑念を払拭できない。
 かくして、ケルヴィン君は他の生徒と示し合わせてオクタヴィアに復讐する作戦を立てる。

というお話で、ミステリーやサスペンスの要素も多いが、ドラマ映画である。

黒人教師の彼女にとって一般的に黒人生徒はダメだが、優秀な主人公は徹底して優等生でなければならない。それは養子を愛する白人夫婦も五十歩百歩で、形としては見えにくいそうした期待が主人公を閉塞させる。黒人だからダメ、或いは黒人なのに凄い、という一元的な意識の問題がそこに横たわっている。

冤罪をかけた少年によって冤罪をかけられて首にされる女教師について、因果応報的なところがあるにしても、同情を禁じ得ず、後味が良いとは言えない。彼女は一人一人の人間として生徒の考えにもっと真摯に耳を傾けるべきであった。人を型にはめて考えてはいけないという教訓である。

以上のように、単純に割り切れない内容を含むが、ぐっと娯楽映画的な作り。カメラは相当に端正で、それを大いに利用してきっちりと展開している。単純なポリ・コレ映画に面白さを見出せない人にお薦めしたい。

優秀と言えば、優秀な選手が出場する甲子園が大変なことになっている。雨で試合が出来ない日の方が多い。高校野球を観始めておよそ半世紀経ち、雨が多かった年もあるが、こんな大会はさすがになかった。それに加えてコロナ感染による出場辞退も相次ぐ。同じことなら、子供たちに感染が少なかった去年やって今年止めた方が良かったねえ。結果論だけど。

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