映画評「喜劇 愛妻物語」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2019年日本映画 監督・足立紳
ネタバレあり

百円の恋」という優れた脚本作のある足立紳が自らの脚本を映像に移した(一種の)ホーム・コメディーで、コミカルすぎるくらいの内容なのに平成以降の家族・夫婦関係のリアルさに甚だ感心させられた。足立の経験に基づくお話だろうと見当がつく内容である。

売れない映画脚本家の豪太(濱田岳)は、パートで食わせてもらっている状態の妻チカ(水川あさみ)にいつも怒られ通しでセックスレスが続く。
 ある時香川のうどん作り少女のネタを紹介され、運転免許もないので鬼のような妻に無理に頼み込んで、小学生の娘アキ(新津ちせ)を連れ、家族旅行を兼ねたシナリオハンティングに四国へ旅立つ。ところが、取材先へ行くと既に別の脚本家で映画化が進んでいて、ぽしゃる。しかし、以前書いた脚本の映画化が決定している為まだ多少大きな顔はできる。
 妻は学生時代の女友達(夏帆)を訪れる。その間海岸で娘と楽しんだ豪太が合流、二人の女性たちの艶話を糸口に、久しぶりのセックスに辿り着く。
 ところが、映画化の話が流れたという話を聞いた妻は激怒、離婚を切り出す。これに豪太は(半分笑いながら)泣き出し、妻は益々怒り、それを見た娘が泣きながら両親の間に入り「どうして泣きながら笑ってるの?」と訊く。
 帰京後相変わらずチカは、パソコンを使えない豪太の為に文句を言いながら手書きの脚本を入力している。

新藤兼人の自伝的作品「愛妻物語」という作品を意識してこういうタイトルになったのではないかと思う。「愛妻物語」と違って下がかった内容だが、俗悪寸前で留めているのは、可愛らしい娘アキの存在である。そして、彼女が文字通り“子はかすがい”を地で行っている感じ。
 それも親が娘に配慮してではなく、彼女が半ば意図的に親の心理をコントロールしているのではないかと感じさせる。それを一番感じさせるのが ”どうして泣きながら笑ってるの” という言葉である。一見我儘な感じさえさせるこの娘は親に似ず実にスマートと言うべし。
 細君も言葉の強さほど自分に甘えている夫を嫌ってもいないような雰囲気がなくもなく、芯のところに愛情さえ感じさせはしないか。

実はこれはいつかどこかで観た風景(笑)で、その本当らしさに僕は甚だ感じ入るものがあるのである。【キネマ旬報】以外世評は余り芳しくない印象だが、もっと良くて良いと思う。

大人の俳優が巧みだが、新津ちせちゃんの可愛らしさに一票。彼女はアニメの新海誠監督の娘です、念の為。

ちせちゃんは、ミライフのCM(6歳ころ)で気に入り、それ以来追っかけをやっている。追っかけは嘘だけど。

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