映画評「冬時間のパリ」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年フランス映画 監督オリヴィエ・アサイヤス
ネタバレあり

二日続けて出版関係とは恐れ入りました。WOWOWの意図か偶然か? 監督は「夏時間の庭」(2008年)のオリヴィエ・アサイヤス。

フランス流私小説作家ヴァンサン・マケーニュは、付き合っている女性たちとの関係を綴る小説を書き続けているが、毀誉褒貶激しく、長年の付き合いである編集者ギヨーム・カネは新作の出版はしないと言う。
 しかし、デジタル化の波が出版界を揺るがす時代にあって、カネの思惑とは違う動きが出て来る。女優をしているカネの妻ジュリエット・ビノシュが実はマケーニュの新作に出て来る不倫女性で、その為彼女は短くはない彼との関係に区切りを付ける。デジタル書籍での売れ行きが存外好調のマケーニュは、政治家の秘書をする妻ノラ・アムザムィにジュリエットとの関係を告白する。
 結局全てをすっきりさせた二人は、仲良くカネとジュリエット夫妻の避暑地の家(?)を訪れる。そこで、子供はできないと言われていたノラは夫に妊娠したことを告げる。

昨日の「さよなら、僕のマンハッタン」もウッディー・アレンっぽかったが、本作もアレンっぽい。台詞の多さでは良いで勝負である。ただ、フランス流のディベート的会話はアレンより聞いていて疲れる。

途中までは、不倫も交えた夫婦二組の結婚生活と、書物のデジタル化の問題という二つの核を二重螺旋的に扱うつもりなのだろうと思って見ていたが、実際にはデジタル書籍の問題が徐々に夫婦の問題にグラデーションして入れ替わるような感じで、終盤はこれ一色となる。
 と言いつつ、前半での印象も当たらずといえども遠からずのようで、作家の正妻との結婚生活と所謂不倫の関係を紙の書物とデジタル書籍との関係に重ねている(“二重生活” が原題)ようにも見えて来る。この点は買いたい。

終わり方と全体のタッチはアレンよりフランス映画界の大先輩エリック・ロメールに近く、それはそれで面白いが、少なくとも好調時のロメールやアレンに比べると大分物足りない。

駄洒落好きとしては、「夏時間の庭」に対する「冬時間のパリ」であるならば、朝癒す(アサイヤス)に対し“夜癒す”と参りましょう。

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