映画評「ランボー ラスト・ブラッド」

☆☆★(5点/10点満点中)
2019年アメリカ=香港=フランス=ブルガリア=スペイン=スウェーデン合作映画 監督エイドリアン・グルンバーグ
ネタバレあり

第4作が作られた時もびっくりしたが、それから11年も経ち、ランボーのシルヴェスター・スタローンも撮影時72歳くらいになったのだから、第5弾製作にはそれこそビックリでござる。
 プロダクションとしてなかなか優れていた前作も人体損壊度が激しい為に★一つくらい減点したが、本作はプロダクションとして貧弱な上に損壊度が同じかやや増しているのだから余り良い顔はできません。例によってコンパクトに作られているのは良い。

娘同様に愛情を注いでいるガブリエラ(イヴェット・モンレアル)が、進学先である大学に向う代わりに、ランボー(スタローン)が行くなと止めた、父親のいるメキシコへ向かう。友人の女性が連絡を寄越したのである。ところが、これが人身売買のカルテルの罠で、拉致されてしまう。
 これに気付いたランボーが拠点のあるアリゾナからメキシコへ乗り込むが、多勢に無勢でやられてしまう。女性ジャーナリスト(パス・ベガ)の協力でガブリエラの奪還に成功するが、彼女は帰国途中で息絶えてしまう。
 これに激怒したランボーは準備万端整えた上で、再びメキシコへ繰り出して少数のところを襲ってボス(セルヒオ・ペリス=メンチェータ)の弟の首をかき切って名刺代わりのガブリエラの写真を置いて去る。
 最初の遭遇で彼の正体を知っているボスは配下を引き連れて、ランボーの拠点へやって来る。

というお話で、かかる極めて個人的な復讐譚は、1970年代のチャールズ・ブロンスン映画の作り直しみたいで、出来栄えも似たり寄ったりという感じだが、設備・装備の規模が違う。こちらは以前から作ってあった地下道に少なくない敵を引き込み、地の利を生かす形で思う存分、次々と倒して行くのである。

その途中でドアーズの危険な香りのするラブソング「ファイブ・トゥ・ワン」Five to Oneがかかるが、これは背景音楽ではなく、 ランボーがその歌詞 "No one here gets out alive, now"を敵に聞かせる為に流すのである。ドアーズ好きの僕としては喜んじゃいました。

とにかく、12分間続いてなかなかに凄まじいと感心しつつ、上述通り、人体損壊が激しすぎる。こういうのを見てゴキゲンにコメントをしている人もいるのだから、刺激への慣れとは実に恐ろしいものだ。僕はこういうのには意識的に慣れないようにしている。

お話は安っぽくて取るに足らないが、スタローンの頑張りに頭を下げましょう。

“トランプの味方のような内容でメキシコ人が怒るのではないか” と言う声も聞こえるが、マフィアが良いと思っているメキシコ人などいはしない。殺されたのが在米のメキシコ娘で、白人のランボーが米墨国境の封鎖を車で突き破るところがあるのを見れば、反トランプ的とも言える。日本のヤクザを悪く描く邦画が非愛国的な映画と言えないのと同じ理屈が通るであろう。

飛んで火にいる夏の虫。

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この記事へのコメント

モカ
2021年05月16日 22:52
こんばんは。

>ドアーズの危険な香りのするラブソング「ファイブ・トゥ・ワン」歌詞 "No one here gets out alive, now"を敵に聞かせる為に流すのである。ドアーズ好きの僕としては喜んじゃいました。

 自分の好きなミュージシャンの音楽が流れると「わっ!」と声を上げそうになりますね。
 私も劇場では周りの人に「○○〇だぞぉ!」と言いたいのをがまんして静かにニヤニヤとほくそ笑んでしまいます。(家では言いまくります。笑)
 つまらない映画でもその場面だけが格が上がるようでもあり、あんまり単純に状況説明のように使われるとカッコ悪いような気もしたり・・・ファン心理は気難しいです。

 "Waiting for the sun " ジャケの臨死体験で観そうな紅い夕日の写真がきれいですね。
 

 
モカ
2021年05月16日 23:24
訂正です。
邦題は「太陽を待ちながら」でしたか? 太陽を待つということは夕日じゃなくて朝日ですね。ドアーズは夕日の方がにあいますけど。
今頃気付くのも遅すぎですが「Here comes the sun」に似ていますね。
オカピー
2021年05月17日 18:17
モカさん、こんにちは。

>つまらない映画でもその場面だけが格が上がるようでもあり

ままありますね。
本作なんかもその口ですが、背景音楽ではなくランボーがわざわざ敵の為に選んだというのが面白い。

>Waiting for the sun
>邦題は「太陽を待ちながら」でしたか? 太陽を待つということは夕日じゃなくて朝日ですね。

一日で考えると朝日ですが、モカさんがHere comes the sunを引き合いに出したように、実際には春を指すようですね。
僕もあのジャケットは夕陽と思って見てしまいます。
 曲としての”Waiting for the sun”はこのアルバムに入っていず、次の次のアルバム「モリソン・ホテル」に入っているというのが面白いですね。
モカ
2021年05月18日 14:55
こんにちは。

>背景音楽ではなくランボーがわざわざ敵の為に選んだというのが面白い。

 当然お察しでしょうが、映画は未見です。乱暴者の映画は苦手でして。

 昨日ちょっと調べたらドアーズとビートルズのこの2曲はどちらも1970年リリースのようですね。またしても1970年です!
 80年代、村上春樹や村上龍が著作のなかでドアーズ好きを自称していましたが、実生活でドアーズが好きという人にも嫌いという人にもほとんど出会った事がないのでオカピー先生は貴重な存在です。死ぬまで聞き続けましょうね! (笑)
 

 
 
オカピー
2021年05月18日 22:34
モカさん、こんにちは。

>オカピー先生は貴重な存在です。

僕は、ドアーズ好きが少ないのが不思議なんですよ。どの曲もどのアルバムも良いです。

これまで馬鹿にしていたジム・モリソン亡き後のドアーズの曲を少し聞きましたが、歌としての魅力はぐっと減りましたが、曲と演奏自体の良さは変わらずあります。CDにしてちゃんと聞いてみようと思います。
モカ
2021年05月19日 14:16
こんにちは。

>僕は、ドアーズ好きが少ないのが不思議なんですよ。どの曲もどのアルバムも良いです。

 異議なしです。
 ドアーズというのはあまりにも "ONE&ONLY"な存在だったからかもしれませんね。
 私の周りにいるのは「地獄の黙示録」でドアーズにはまった後追い世代ではなくてリアルタイム世代なのですが、どうも彼らはドアーズをちょっと変わったロックグループと捉えていたようです。
 あの頃は「ロック=エレキギター」みたいに捉えられていてドアーズのオルガンサウンドに少し違和感があったのかな・・・とも思います。とにかくロック小僧は皆ギターが欲しかったらしいです。 
うちのギター小僧のサンプルでいくと、当時ジミヘン、ジョニー・ウィンター、ジェフ・ベック、ストーンズ、クリームあたりを聞いていたようです。まだツェッペリンは存在していない頃ですね。 そういえばギターを手にしなかった人でドアーズが好きな男子は一人いました。
 ビートルズでもそうですが後追い世代のほうが情報量、資金力共に勝っていますし、もう全て出揃って評価も定まっていますからファンは多いんじゃないですか。 
オカピー
2021年05月19日 19:11
モカさん、こんにちは。

>「地獄の黙示録」でドアーズにはまった後追い世代ではなくてリアルタイム世代

その点ボクは極めて特殊で、「ハートに火をつけて」をリアルタイムで知っていた(と言っても小学3年生くらい)一方、本格的にはまるきっかけは仰る通り「地獄の黙示録」によってでして。まあ後追い世代と言って間違いないでしょうが。

>あの頃は「ロック=エレキギター」みたいに捉えられていて

それより以降も、そういう傾向があった感じがします。
 僕の二つ上の先輩たちが「ビートルズは、効果音みたいのを使わなければ良いんだけど」とWhile My Guitar Gently Weeps"を引き合いに出して行っていました。僕らビートルズ・ファンは、そうしたビートルズの多様なアレンジや遊びが好きなのですが。

>当時ジミヘン、ジョニー・ウィンター、ジェフ・ベック、ストーンズ、クリームあたりを聞いていたようです。

納得の顔触れです。ブルース系はテクニカルなギタリストが多くて、好まれたのでしょうね。

>もう全て出揃って評価も定まっていますからファンは多いんじゃないですか。

残念ながら、ドアーズに関してはそうでもない気がします。
 大学時代、ビートルズとピンク・フロイド好きが共通していた友人に“ドアーズも良いぞ”と言って進めたところ、殆ど無関心でRiders on the Stromのギターを聞いて“渋い”といった反応しかなくがっかりしましたよ(苦笑)。
オカピー
2021年05月19日 19:12
モカさん、こんにちは。

>「地獄の黙示録」でドアーズにはまった後追い世代ではなくてリアルタイム世代

その点ボクは極めて特殊で、「ハートに火をつけて」をリアルタイムで知っていた(と言っても小学3年生くらい)一方、本格的にはまるきっかけは仰る通り「地獄の黙示録」によってでして。まあ後追い世代と言って間違いないでしょうが。

>あの頃は「ロック=エレキギター」みたいに捉えられていて

それより以降も、そういう傾向があった感じがします。
 僕の二つ上の先輩たちが「ビートルズは、効果音みたいのを使わなければ良いんだけど」とWhile My Guitar Gently Weeps"を引き合いに出して行っていました。僕らビートルズ・ファンは、そうしたビートルズの多様なアレンジや遊びが好きなのですが。

>当時ジミヘン、ジョニー・ウィンター、ジェフ・ベック、ストーンズ、クリームあたりを聞いていたようです。

納得の顔触れです。ブルース系はテクニカルなギタリストが多くて、好まれたのでしょうね。

>もう全て出揃って評価も定まっていますからファンは多いんじゃないですか。

残念ながら、ドアーズに関してはそうでもない気がします。
 大学時代、ビートルズとピンク・フロイド好きが共通していた友人に“ドアーズも良いぞ”と言って薦めたところ、殆ど無関心で Riders on the Strom のギターを聞いて“渋い”といった反応しかなくがっかりしましたよ(苦笑)。