映画評「ボクシング・ジム」

☆☆★(5点/10点満点中)
2010年アメリカ映画 監督フレデリック・ワイズマン
ネタバレあり

フレデリック・ワイズマンは知る人ぞ知るドキュメンタリー映画の大御所で、マイケル・ムーアのように自分の方向性を定めて一種の脚本を作った上で主張に合わせて展開するタイプの作家ではなく極めて受動的、かつ、長い(大体3時間前後)ので観るチャンスがあったものでも半分くらいは無視して来た。しかし、本作は例外的に短く(91分)、タイミングも合った為、WOWOWでの特集の録画にて鑑賞。

テキサス州の州都オースティンにある、リチャード・ロード経営のボクシング・ジムに取材している。

特段の主張はない。そこに集まる、ジョン・レノンの「ハッピー・クリスマス」風に表現すれば、プロの人アマの人、若い人老いた人、白い人黒い人、男の人女の人、痩せた人肥った人・・・をひたすら撮り続ける。有体に言えば、アメリカの縮図たる人々の坩堝を映し出す。
 彼らは色々喋るが、そこで語られることは、ボクシングの技術に関することもあれば、近所の大学で起きた学生による無差別銃撃の事件、教育のことなど多種雑多であり、観ているうちに、これはまあ現代アメリカ版「浮世風呂」と言って良いのだろうという思いに至った。

スタンスについて音楽用語で表現すれば、マイケル・ムーアのようなドキュメンタリーがAメロ・Bメロ・サビがはっきりしたロックであるとすれば、こちらはアンビエント音楽である。

以上で興味が持てた人は、是非ご鑑賞ください。

テキサスと言えば、マイノリティの投票権限の規制に繋がると言われる“投票制限法案”が提出された。同じく南部のジョージア州をめぐっては、MLBがオールスター会場をジョージア州アトランタからの変更を決め、テキサス州やジョージア州で反旗を翻る大手企業も現れた。革新と保守とで二分されたアメリカは、いっそのこと、東西海岸と中南部で二つ連邦国を作ったら良いのではないかとさえ思う。

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