映画評「ザ・ゴールドフィンチ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2019年アメリカ映画 監督ジョン・クロウリー
ネタバレあり

アメリカでの低評価(Wikipediaによる)ほど悪くない出来と思うが、ジョン・クロウリーの監督作品としては秀作群「BOY A」(2007年)や「ブルックリン」(2015年)と比較するとかなり落ちる。その低評価もあって日本では劇場公開が見送られたか(iTunesによる公開)。

美術館の爆破により母親を失った少年テオ(オークス・フェグリー)は、三人の子供のいる裕福なハーバー家に一時的に引き取られ、一家の主婦サマンサ(ニコール・キッドマン)に気に入られると共に、爆発時に被害者の老人から渡された指輪により、知り合いの骨董商ホバート(ジェフリー・ライト)と交流を持つようになる。
 テキサスの暴力的な父親に強引に引き戻されたテオは高校でウクライナ移民の同級生ボリス(フィン・ウルフハード)と仲良くなり色々悪いことも憶えるが、やがて経済的に行き詰まった父親が事故死し、彼の恋人の許を離れてニューヨークへ戻る。ボリスは約束を反故にして彼と合流せず、時が流れる。
 今やホバートを営業面で支えるテオ(アンセル・エルゴット)はハーバー家と交流を再開、娘キッツィーと婚約する仲となるが、その頃騙して本物を再利用した偽物を売りつけたと文句を付ける顧客シルヴァー氏から、美術館の爆破で焼失したと思われたカレル・ファブリティウスの名画「ゴシキヒワ(ゴールドフィンチ)」が麻薬マフィアの取引に利用されていると言い出す。
 その後再会した今や麻薬ディーラーになっているボリス(アナイリン・ハーバード)から少年時代の秘密を告げられる。実はその絵は事故の直後に最終的に亡くなる被害者の老人から指輪の前にテオに手渡しされたもので、彼が母親との思い出などの為に大事にしていた絵なのだが、それをこっそり奪ったというのだ。文化的資源を大事にする師匠からも大いに叱られる。
 しかし、これについて反省しきりのボリスは何とか取り戻したいと、テオを巻き込んで、オランダでギャング相手に危険な取引をする。案の定取引は銃撃戦になるが、後日テオの前に現れたボリスはプラスαのある吉報を届けるのである。

日本でも和訳が出ているドナ・タートの大長編(4分冊)の映画化で、少なくともこの映画化からは運命論的な色彩を帯び、起きてしまったことを受け入れるのが自分の為という主題として結実しているような印象を覚える。

ロジャー・ディーキンズのカメラは相変わらずシャープであるし、物語の面としては一つの絵画が人々の運命を左右する様子が感慨を催させるところがある。しかし、長大な原作をそれなりにまとめたことの弊害が出ているようで、特に前半がまだるっこいと言おうか、要領を得ずお話の方向性が解りにくい為、イライラまでは行かないにしてもじりじりさせられるのである。

原作を読めばこの映画化作品が持つ問題点がもっと明確になると思うが、そうぜずとも、前半においてエピソードの順番を変えた方がすっきり見られると思われるところがある。具体的には、例えば、作品の方向性を明確にするため絵画についての情報をもっと早めに出した方が良かったのではないか。

フィンチと言えば、ダーウィン。解る人は解る(笑)。

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