映画評「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしの作り方」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2018年アメリカ映画 監督ジョン・チェスター
ネタバレあり

ドキュメンタリー映画。日本的大衆に向けたサブタイトルが煩いものの、内容は実に良い。

キリスト教的あるいはアメリカ的な考えの難を指摘する意見を読んだが、農場の経営者であり作者でもあるジョン・チェスターは既にその問題に気付いている。次第に宮崎駿の示すような世界観・自然観に近付いて行く。仏教や神道と同じではなくても(同じである必要もなく)僕は大いに感動させられた。

2010年のカリフォルニア。動物ドキュメンタリー番組のカメラマンをしているチェスター氏は、買い始めたやんちゃな黒犬トッド君の為にアパートを追い出され、そこで料理ブロガーの細君モリーと共に、オーガニックの農場を作ろうと考える。友人に話をすると噂が噂を呼んで資金が集まり、8万平米の探索農業で荒れた土地を購入する。
 有能な専門家アラン・ヨークに意見を仰いで、被覆作物を植え、様々な動物を飼い始める。荒れて硬くなった土地を改良するのだ。

ここまでまるで、僕がここ20年番組の作り方が大嫌いな日本テレビで唯一見て来た「ザ!鉄腕!DASH!!」のDASH村を見るようだ。 福島だったのが運の尽きでしたなあ。

二人はネットで告知をすると、多くの若い人たちがアシスタントとして訪れ、農場開発は順調に行く。しかし、2年目にヨーク氏の癌が判明した頃から色々な不都合に突き当たる。
 最初はコヨーテに鶏が大量に食べること。フェンスを作っても効果は限定的。遂にチェスターはコヨーテを一頭撃ち殺してしまうが、この後別件もありコヨーテを生かして生かす(利用する)考えはないものかと考える。農業用に飼っている白犬の一頭が雌豚と夫婦気取りだった鶏を食べてしまうという事件に最初は怒った彼も、それを逆手に取って食べなかったもう一頭を監視に生かし、食べてしまった犬も可愛がる。コヨーテが余りに繁殖しすぎたホリネズミを食べてくれることも知る。猛禽類やヘビも食べる。大事な野菜を食べてしまう大量のカタツムリは飼っているカモなどが食べてくれる。かくして観察の大切さに気付き、自然に頼るだけでなく、人為による対処も加わる。
 カリフォルニアでお馴染みの山火事にも襲われかけるが、これは半分は人災みたいなものである。

これらの、最終的には安定に向かう、一連の自然による災難を形容して曰く、心地よい不調和、と。そして、動物や人の生死を含めて、自然は最終的に無駄なことはしない、という考えに到達する。

映画的には、実に要領よく面白可笑しくまとめている点を評価したいが、純粋に内容的にもすがすがしさが味わえる。

最近の「ザ!鉄腕!DASH!!」は料理関係が多過ぎて余り楽しめない。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント