映画評「コレヒドール戦記」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1945年アメリカ映画 監督ジョン・フォード
ネタバレあり

中学の時に地上波(当時は地上波しかなかったわけだが)のゴールデン・タイムに放映された際は観ず終い。それから半世紀近く経ってやっと観たが、ジョン・フォードの戦争映画の中でも高品位の作品と感心させられた。

映画が作られたのは太平洋戦争終戦直後の1945年末で、舞台となるのは太平洋戦争のごく初期、アメリカが敗走した1941末-42年初頭のフィリピンでの戦いである。

推測するに、フォードが示した境地は、戦勝国の映画作家として敗走した戦闘への内省的回顧であったあろう。そこには戦死した人々へ思いを馳せる目的もあったと思われる。
 そこで生まれるのが、ジョン・ウェインの少尉やロバート・モントゴメリーの中尉が所属する魚雷艇による迫力満点の場面をサブに斥け多くを占める叙情的な場面群である。とりわけ、従軍看護婦ドナ・リードが絡む場面場面の美しさは、この後作られる西部劇「荒野の決闘」の詩情に発展していくものを覚えさせ、実に感激させられる。

日本人だからじーんとすると言うのは少し変だが、新戦略の為にウェインらを乗せて去っていく飛行機を行軍する兵士たちが見送るラスト・シーンの哀切が胸に沁みる。
 そこに沈潜するのはフォードの愛国的な思いであるから、我々日本人には複雑な思いを掻き立てられるものの、美しい映画の評価はそんな精神的なことで左右されてはならないだろう。二日続けて男気を見せられました。

僕が映画を本格的に観始めた1970年頃既に製作ベースでは下火であったが、TV放映で戦争映画が腐るほど見られた。特に土日の昼間に多かった。当初は古い映画も少なからず放映したWOWOWがオールド・ファンではなくターゲットを若年層もしくはミーハーに絞った為、同局で昔の映画はほぼ観られなくなっている。メガヒット・レジェンドと称して多少古い映画が出ても、年寄りには古い映画とは言えない2000年代の作品ばかり。 放映権等の問題もあるだろうが、YouTubeで昔のアルバム(但し洋楽)が無限に聴ける状況に比して、WOWOWに限らず映画の状況は非常に寂しい。

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