映画評「野性の呼び声」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2020年アメリカ=カナダ合作映画 監督クリス・サンダーズ
ネタバレあり

ジャック・ロンドンの有名な小説の十数回目となる映像化(映画として日本で公開されるのは恐らく4回目)で、今この作品を作る理由は、お話以上に、素晴らしいVFXで犬を筆頭とする動物たちの生々しい動作を見せることではないかと思う。

ゴールド・ラッシュに沸くアラスカ。
 判事の愛犬だった大型犬パックが盗まれて転売されるうちに、まず郵便ぞりの男女カップル(オマール・シー、カーラ・ジー)の為に働くことになる。電報の発達で郵便そりが廃止されてお役御免になったパックらの仲間は黄金目当ての三人組に買われるが、徒らに無理をさせるのでパックらは疲弊する。ここで川の氷が割れるのを予測して動かないパックを初老男性ソーントン(ハリスン・フォード)が三人組から保護する。
 パックと親愛の情で結ばれたフォードは幼くして死んだ息子の行きたがっていたユーコンを目指し、冒険小説通りにそこに黄金があるのに喜ぶ。しかし、そこへ三人組の一人ハル(ダン・スティーヴンズ)が現れ、フォードに襲い掛かる。パックはハルを倒すが、その前に射撃されたフォードは絶命する。
 かくして、同地で野性に目覚めたパックは白い雌オオカミと結ばれて、リーダーとして君臨する。

お話の流れは、原作にかなり近い。が、幾つかポリ・コレ的に改変されている。
 原作で橇用にパックを買うのはフランス系カナダ人男性の二人組で、郵便橇の業者はスコットランド系である。映画はこの二組を一つにまとめ、黒人男性とエスキモーの血が混じっているのかもしれない女性のカップルに変えている。郵便署長らしき人物も女性だった。
 一番の変更点は、ソーントンを殺すのがインディアンの集団ではなく、欲深い白人であること。
 しかし、この程度のポリ・コレ的改竄は問題にするには及ぶまい。インディアンが白人を殺していた事実を知らしめる必要があるとも思うが、余り言うと差別主義者と思われてしまうのでこの辺で。

それに関係ないところでは、原作は金探しに出たのは三人、犬たちも数匹であるのに対し、映画は孤高の一人と一匹の結びつきを強調する為に上述通りになっている。目的も金探しではない。

しかし、そんなことはどうでもよく感じるほど、冒頭で述べたように、動物たちの動きが迫真的で感服させられる。眼目と考える所以である。犬たちの動作の大半は厳密に言えばCGではなく、オリジナルを生かすレタッチによる表現ではないだろうか。TV画面で見る限り質感が本物にしか見えないからである。終盤のパックの一家一族がトナカイの群れを追う場面は露骨にCGっぽかったが。

「荒野の呼び声」や「野生の叫び」という邦題もあるデス。

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