映画評「サニー/32」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年日本映画 監督・白石和彌
ネタバレあり

誘拐された中学校教師の運命というアウトラインに加え、パンチのある描写を買う白石和彌が監督をしているので期待したが、もう一つである。

13年前の小学生による同級生殺人事件を踏まえてお話が進む。
 現在の新潟。中学校の女子教師藤井赤理(北原里英)が、ストーカー事件を解決して貰ったと思うのも束の間、二人組の男に拉致される。彼らは13年前にサニーと仇名される殺人事件の犯人を崇め、サニーと決めつけた彼女を誘拐したのである。
 実は二人以外にも四人の信者がいるが、さらにその彼らをドローンで追っている人物をいる。信者の振りをして仲間に加わった被害者の兄により殺された一人を新しい拠点の砂浜に埋めていると、中学生くらいのドローン男(加部亜門)が現れてスタンガンで関係者を一蹴するが、赤理はそこで何かに憑依されたように凄い勢いで関係者を圧倒した挙句に慰め、文字通り新興宗教の教祖の如くなっていく。
 ところが、ここで自分こそ本当のサニーと自称するもう一人の藤井赤理(門脇麦)がネットに現れ、信者たちが混乱する。
 教師の赤理が注目するのは自分の教え子(蒼波純)と思われるネット信者で、彼女がサニー同様同級生をカラオケ店で殺そうとすることを知り、何とか思い留まらせようとする。

どこまで狙っているか分らないが、中盤過ぎまではブラック・コメディーの感覚が強くあり、徐々に弱めつつも最後の方までそれなりに維持している。これについては褒めて良いのではないかと思う。

反面、作劇的には、ヒロインが教祖に祀り上げられるところで一気にがっくりする。ドローン男が死体を埋める現場を中継しているのに、いくら視聴者が少ないとは言え、通報があってしかるべき状況にあるだけに早々に警察が絡んでこないのに興醒めるのである。このIT時代に場所の特定もさほど難しいことではないはず。ここで警察がすぐに現れるとお話が成立しなくなるが、少なくとも細部に工夫を凝らしてそういう疑問を覚えさせないようにしないといけない。

SNSを中心とした現代文化を主題とし、そうした環境において疎外される人々を扱ってちょっとした社会性を見せているが、最初から無理なお話で説得力を欠くことは否めない。幕切れは教師の赤理の思いが以心伝心に生徒に届いたのだろうか。

Sunnyと言えば、ボビー・ヘブだよねえ。知らない? ところで、YouTubeからダウンロードした音源でブルース・ロックのエレクトリック・フラッグのCDを作った。評判の良い二作目と三作目をカップリングして70分強だから一枚に収まったが、三作目の二曲目が「サニー」のカバー。良い曲だから是非聴いてね。

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