映画評「ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス」

☆☆★(5点/10点満点中)
1995年日本映画 監督・白土武、総監督・伊藤俊也
ネタバレあり

Wikipediaは声優陣が全く異なる「風魔一族の陰謀」を第4作としているが、WOWOWは本作を第4作とする。

皆さんもよくご存知で説明はなくもがなだろうが、本作製作中にルパン三世の声を当てる山田康雄が倒れて最終的に亡くなったので、ルパン三世の物真似で有名だった栗田貫一が代打で起用され、その後現在まで彼が当てている。

ノストラダムスがハルマゲドンを予言した(と後世の人が付会する)1999年が舞台だから設定は近未来で、製作時日本でまだ普及前だった携帯電話などが活躍するのが目を引く
 カーニバルに沸くリオデジャネイロでルパン三世が大型の宝石を盗み、米国アトランタ行きの飛行機に乗るが、峰不二子(声:増山江威子)が教育係を務める大富豪の娘ジュリア(声:安達祐実)に宝石を隠した人形を奪われ、そこへハイジャックが起きる。

これはノストラダムスの予言により信者を集めている教団が予言した通りの出来事であるわけだが、観客にほどほどの勘があれば、それが教団の狂言即ち予言を自ら起こしていることは解るはず。

彼らは、幼女の大統領を目指している実業家ダグラス(声:阪脩)が所有する超高層ビルの特殊設備が施された金庫室に収められた予言書の一部を狙っている模様。
 ルパンらもそれを狙っているからそれを巡る争奪戦が主題となり、例によって複雑な仕組みの金庫室を突破する場面があるが、バイオメトリクス認証が利用されているので、金庫室突破が従来のようなストレートな見せ場になりにくい。その代わり、その後に続くビルに仕掛けられた爆弾と予言書奪取をクロスさせた終盤が大きな見せ場になってい、それなりに楽しめる。

構成上も、山田康雄最後の映画作品となった10年前の「バビロンの黄金伝説」が描写のバランスの悪さから非常にとっちらかった内容と感じられたのに対し、本作は大風呂敷をしかない程々の現実路線であり、描写に無駄が少なくコンパクトに作られているところに好感を覚える。

しかし、製作から25年後に初めて見て驚くのは、ノストラダムス並みの予言性だ。
 高層ビルを所有する実業家が大統領を目指し、その奥方は子供を犠牲にしようとする夫を嫌って自らも立候補しようとする。つまり、2016年におけるトランプ大統領とヒラリー・クリントンみたいなのである。実際には予言したというより、トランプが大統領を目指しているという噂や女性大統領が近いうちに登場するだろうという情報を脚本を書いたお二人(柏原寛司、伊藤俊也)が知っていたのだろう。
 9・11の6年前に超高層ビルの崩壊を見せたところにゾッとさせるものがある。しかも、原理主義ではなく単なる欲絡みとは言え、宗教団体がビル破壊を行うのだから、その近似性にビックリ。

WOWOWの邦画傾倒が益々著しく、今月は邦画が中心になりそうだ。洋画は再鑑賞で凌ぐしかないのか。寂しいのお。

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