映画評「西部の人」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1958年アメリカ映画 監督アンソニ・マン
ネタバレあり

ゲイリー・クーパーには「西部の男」(ウィリアム・ワイラー監督)という主演作もあってややこしいのだが、こちらはアンソニー・マン監督による晩年の主演作。多分40年ぶりくらいの再鑑賞である。

クーパーは、アリゾナ州のグロスカットまで馬でやって来、テキサス州フォートワースに列車で向う。酒場ですれ違った歌手ジュリー・ロンドンや正体不明の男アーサー・オコンネルと一緒になる。そこへ5人組の列車強盗が現れるが、列車側の抵抗で失敗に終わる。
 しかし、列車が強盗を振り切る為に急発射した為にかの3人は置いてきぼりを喰らい、歩いて或る(クーパーが昔暮らしていた)小屋や辿り着く。そこには列車強盗のグループが巣食っているのだが、ボスのリー・J・コッブは大昔クーパーが厄介になった男である。クーパー氏は悪行が嫌で徒党を抜け出したのだ。
 この小屋でのジュリーにストリップを強制するなどするやや陰湿な籠城場面の後、コッブは炭鉱町の銀行襲撃を提案する。溜め込んだお金をグループの誰かに盗まれたクーパーは、仕事仲間に戻ったふりをして、斥候の役目を買って出る。慎重なボスは口の利けないロイヤル・ダノを事実上の見張りにつける。
 ところが、炭鉱町は廃墟になっていて拍子抜け、元の銀行にはメキシコ人夫婦がいるだけ。一人留守を守っていた細君を射殺したダノを、倒れた細君の手から拳銃を奪ったクーパーが射殺、かくして手に入れた二挺のピストルで、後発組の二人ジョン・デナーとロバート・ウィルクを待ち受け、予定通りやって来た二人に挑み、云々。

というお話で、1950年代後半の作品であるから、サイレント時代からの大スターのクーパーを起用しても内容はぐっとリアリズム基調となっていて、この6年後くらいから本格的に始まるマカロニ・ウェスタンを思わせるところもある。

序盤クーパーの性格や背景を伺わせるべくじっくりと叙景を重ねて、列車内の描写などのんびりと進めた後、突然列車強盗を出現させる。この辺りの呼吸は実力派マンらしくなかなか良い。
 西部劇としては、籠城場面以降いよいよ本格的なお話となっていくが、マンらしさが最大限発揮されるのは炭山町での決闘で、高品位な画面の構図とカット割りによって面白味を生んでいる。具体的には、影によりウィルクを撃つ場面に続く、床板を上下に挟んだデナーとの対決が、西部劇決闘場面史上でも上位にランクさせたいほど素晴らしい。

全体として非常に面白いとまでは言い難く、大量に☆★は進呈しかねる。ただ、西部劇から離れた時、クーパーとジュリーの関係は繊細千万で、どんでん返しもなく、ジュリー側から言えば非常に切なく胸に迫る。

歌手でもあるジュリー・ロンドンに歌手役をさせながら歌を歌わせないという変化球。

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