映画評「ジェミニマン」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2019年アメリカ=中国=インド合作映画 監督アン・リー
ネタバレあり

1970年代に同名のTVシリーズ(H・G・ウェルズ「透明人間」がベース)があったが、全く無関係。こちらはある程度現実味のあるSF映画である。

走る高速列車に乗るターゲットを仕留めることさえできるDIAの名狙撃手ヘンリー・ブローガン(ウィル・スミス)が、人を殺すことに嫌気がさして(実際にはもう少し複雑)引退を決意するが、その直後に自分を暗殺しようとする者がいることに気付く。案の定彼に手を差し伸べる者は殺される。
 釣り場で案内係をしていた美人ダニー(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)が実はDIA関係者と気付き、どうも自分を狙っているのは身内と判断するが、ダニー自身も命を狙われたことから無関係と解り、以降彼女と手を取り合って暗殺阻止を図り続ける。
 やがて現れた暗殺者が自分の若い時のそっくりで、運動神経も同じようなもので、勝負がつかない。同じことを相手も感じている。最初は、ダニー同様、彼の秘密の息子ではないかと誰しも考えるだろうが、遺伝子検査の結果は何と全く同一と判明。つまり彼のクローンなのである。
 以降、クローンは自分のアイデンティティの追求と芽生え始めた良心に次第に心を占領され、やがて生みの親で育ての親でもある元DIA幹部に反旗を翻し、スミスらと一致協力して彼の繰り出す部隊と対峙する。

IMDbでの平均採点は5.7 と極めて低いが、僕はなかなか気に入った。現在回想形式であったり、お話が複雑な方を評価する人が多いが、それは大いなる勘違いである。近年直線型で見通しが良い映画は上手く作っても直線型であることを理由に実力より評価が低くなりがちであると僕は感じている。この映画の低評価はそこにも要因があるのではないかと思う。その罠に嵌らなければ、見通しが良い為にどこを注視して観れば良いか解りやすく、ひねくれていない人なら自ずとアクションに力が入る。アクション場面は近年の映画では珍しいほど解りやすいカット割りをされている。

アクションと言えば、中盤オートバイによる隘路でのチェースをかなりの長回しで撮っているところが凄い。或いは実際には別々に撮ったショットをいかにも一つのショットのように見せることも現在のVFX技術では可能なわけで、技術的にさまで感心するには及ばないのかもしれないが、見た目が甚だヨロシイ。

VFXと言えば、若いクローンもウィル・スミスが演じているらしい。つまり、レタッチで若返らせているのである。レタッチはCGと同じくVFXの一つであるが、この類をCGと表現するのは間違い。CGは一から作り上げ、レタッチは元の画像に手を加える、という大きな違いがある。一応言っておきます。

従って、役者が要らなくなるのでは?という意見も間違い。大元がなければどうにもならない。噂に聞くジェームズ・ディーン出演の新作というのもこの手であろう。

昨晩7時ごろもの凄い雷雨(100㎜/h)があり、以降ネットが使えない状態が続いたが、先程やっと復帰。今日はブログUPできないかと思いましたよ。

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この記事へのコメント

2020年08月23日 19:13
四国からニュースで見るだけですが、関東は雷が多いような印象があるんですね。それと、新聞に出ていましたが、隕石が落ちたんですか? そういうのも関係していたのでしょうか?
2020年08月23日 20:45
>IMDbでの平均採点は5.7 とえ極めて低い
>お話が複雑な方を評価する人が多い

昨今のどんでん返しブームの流れですか・・。
(大人の鑑賞に堪える)予想の付く映画を観ることの楽しさを知らいのですな・・。
次々と自分の展開予想通りに映画が進行していった時の気持ちよさをわからんとは・・。
アメリカ人も最近はどうもいけません(笑)
僕など、オードリーのコメディを観ながら、
浅野佑都
2020年08月23日 21:04
(意図に反してコメントしてしまったので、続きます)「おお、次から次へ思った通りの筋書きじゃわい、これはまるで両取り・ヘップバーン!とばかり喜びましたよ・・。

>アクションのわかりやすいカット割り
これは本当に、細切れアクションを見慣れてると実感しますね・・。
僕は、戦記物も好きですがアクションも好きで、特にブルース・リーのアクションや日本の時代劇の殺陣に魅了されますね!
同じくブルース・リーファンの評論家の渡辺祥子に手紙を書いて返事をもらったことがあります。(彼女は、「燃えよドラゴン」以外のブルースの作品は好きでないのですが僕は全部好きだという始末で・・笑)

>昨晩7時ごろもの凄い雷雨
前橋よりも西毛のほうが激しかったようですね・・。

今日の午前中に,小野上温泉の「さちのゆ」という日帰り施設に行きましたが、近所の古老たちが「昨夜(の雷雨で)、BSとCSが映らなくて弱った・・」などと話していました・・。
昔の洋画の話などもしていて僕も遠巻きから加わりましたが、群馬の老人もなかなか”今風”であります(笑)
浅野佑都
2020年08月23日 21:16
失態ついでに3本立てで・・。
プロフェッサーは、オノ・ヨーコは最近、顔が片岡千恵蔵化している、と思われませんか?

オカピー
2020年08月23日 22:19
nesskoさん、こんにちは。

>四国からニュースで見るだけですが、関東は雷が多いような印象がある

多いです。
僕らが子供の時もの凄く多かった記憶があるのですが、成人する頃は大分少なくなり(その頃は比較的少ない東京にいましたが)、今世紀に入りまた多くなりました。東京も昔より多いでしょう。

>新聞に出ていましたが、隕石が落ちたんですか?

房総半島のほうに大きな火球が目撃されたようですが、隕石として着地したという確認はされていない模様。最近火球の目撃が多いみたいです。終末論がまたぞろ出て来るかもですね^^;
オカピー
2020年08月23日 22:36
浅野佑都さん、こんにちは。

>昨今のどんでん返しブームの流れですか・・。

回想形式、それに伴うナレーションによるスタートとも関連があるかもです。

>予想の付く映画を観ることの楽しさ

ブログを始めた頃に指摘したことがありますが、ある程度先が予想し、それを確認しつつ進んでいくのが映画としては理想的。実は、数分先の予想も出来ない作品などなっとらんのですよ。

>ブルース・リーファンの評論家の渡辺祥子に手紙を書いて返事をもらった

それは羨ましい。僕は「ファミリー・プロっと」のブルース・ダーンが好きと言って、淀川さんに変わり者扱いされたのが唯一の武勇談ですかね。

>近所の古老たちが「昨夜(の雷雨で)、BSとCSが映らなくて弱った・・」

パラボラを使うタイプは、激しい降雨・降雪には弱い。うちが壊れると思うくらい降りましたよ。降っていなくても南に大きな雨雲があると映らないケースも稀にあり。

>オノ・ヨーコは最近、顔が片岡千恵蔵化している、と思われませんか?

もともと顎が横に張ったいかつい顔でしたが、年を取ってそれがもろに解るようになりましたね。そうか、あの顔はわが群馬の生んだ片岡千恵蔵か!