映画評「戦場」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1949年アメリカ映画 監督ウィリアム・A・ウェルマン
ネタバレあり

再鑑賞であることは確かながら、前回いつ観たか全く憶えていない。老化現象が著しく、愕然とする(笑)。

さて、本作は、ウィリアム・A・ウェルマン監督の戦争映画である。ウェルマンは特段戦争映画をお得意としているわけでもないのだろうが、戦前に「つばさ」や「空行かば」という代表作がある。

僕が割合好きな戦争映画「バルジ大作戦」(1965年)と同じ作戦の一部を扱っているが、作り方は後述するように全く違う。

軍曹ジェームズ・ホイットモア率いる分隊が、要衝地ベルギーの小都市バストーニュに到着し、森に布陣を敷くが、この地の制圧が今後の戦略にとって重要と考えるナチス・ドイツにより囲まれ、ずっと霧の晴れない森の中で苦戦を強いられる。軍曹が負傷すると、上等兵ヴァン・ジョンスンが任務を引き継ぐ。

お話の大きなうねりで見せる作品ではなく、非常に細かなエピソードを繋いで構成するというこの時代の戦争映画としては異色作と考えられる。

霧に困らされるのは敵も同じで、攻撃してきた敵を、霧に乗じて側面に回り、仕留めるという箇所が本作の中で一番本格的な戦闘場面になっている。霧という小道具を徹底的に利用し、大掛かりなロケーションを使わずに戦場を構成したところが巧い

文字通り五里霧中の閉塞感が突然霧が去ることで雲散霧消すると、そこに味方の無数の空軍機が現れ、デウス・エクス・マキナ式に、お話は幕切れに突き進む。この見せ方が映画的に鮮やか、感心させられる

この間(かん)に描かれるのは、兵隊たちの戦場における日常的な活動であり、派手な見せ場も上記のものくらいで、軍隊や軍人の勇ましさには全く関心を見せない。それがウェルマンら作者の狙いであり、新しい戦争映画の在り方に先鞭を付けたと言っても良いのだろう。ただ、映画全体の緩急が乏しく、やや平板に感じられる。
 Allcinemaは、ユーモラスな場面とスリリングな場面の組合せを緩急と称しているが、そういう緩急ではない。僕の言う緩急は、その場面群がどちらも同じようなスピード感で扱われている、ということである。大きな欠点ではないが、やや物足りなく思う。

そのユーモアの中では、ヴァン・ジョンスンがヘルメットで卵焼きでも作ろうとする度に邪魔が入るなんてのがあるが、これは空回り気味で、それより、霧の中で遭遇した米軍同士が、ドイツ人には解らない野球や芸能人に関して細かい問いを出して同軍であることを確認し合うというエピソードが面白い。
 これが米軍の100%正しい実態というわけでもないだろうが、戦争中も陽気さを忘れない彼らが日本人から見ると素敵だ。五日前にアップした邦画「軍旗はためく下に」(1972年)の日本軍とは余りに対称的で、愕然とする。

冒頭と最後で、同じ文句を繰り返したのは、レトリックです。

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