映画評「資金源強奪」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1975年日本映画 監督・深作欣二
ネタバレあり

「仁義なき戦い」はさすがに観たが、任侠映画やヤクザ映画は殆ど観たことがない。本作は「仁義なき戦い」を監督した深作欣二のメガフォンを取ったヤクザ映画のヴァリエーション。
 実に要領良く作られて面白いが、地平を切り開くところまでは行っていないので、この内容としては相当褒めていることになる☆☆☆を進呈する。退屈するかしないかという尺度だけで判断するなら☆☆☆☆くらいやっても良いくらい。

鉄砲玉として抗争相手の人間を殺し8年の刑期を終えて出所した北大路欣也が、臭い飯仲間の川谷拓三と室田日出男に、彼が所属していた組の賭場資金を強奪する話を持ち掛ける。一致協力して賭場を催涙弾で襲い3億5千万円もの大金をせしめた彼は、千万円ずつ二人に渡し、犯行がばれないよう残りはしまい込む。
 面白くない親分の安部徹は、首が危ない訳あり刑事梅宮辰夫を雇い、犯人の当たりをつけさせる。梅宮刑事は現場に残っていた新聞の競艇欄を頼りに競艇場へ出かけ、ノミ屋の情報で急に景気が良くなったと知った川谷を追跡、組に差し出す。しかし、費用を貰った刑事は、その晩覆面をして組から川谷を救出、自分も分け前に預かろうとする。
 紆余曲折の末、自分の命が危なくなった北大路は、失職したばかりの梅宮を抱き込んで、一度は組織に回収されてしまった3億3千万円(組織は最初5億円あったと言っている。この1億5千万円の差は何を意味するのか結局不明)を奪還しようとする。
 さてその首尾は?

というお話は、生き馬の目を抜く人の世の非情を象徴するような争奪戦がテーマで、裏切りが通奏低音。冒頭で述べたように、最近の映画と違って無駄なく要領よく進みつつ(上映時間92分)、この手の作り方にありがちな拙速に陥っていない。これは褒めるに値するだろう。
 とりわけこの当時の深作監督は実録的かつ即実的なタッチなので、断裁的な処理に刺激されるところがあるとは言え、映画芸術のアングルから言うと不満がなくもないが、これだけ面白ければお釣りが来る。

太地喜和子共演。

諺【昔千里も今一里】をもじって言うと、【昔凡作も今佳作】。大人が見るに値する作品が少なくなっている現状では、そういう表現をしたくなることが多い。

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