映画評「サンダーボルト」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1974年アメリカ映画 監督マイケル・チミノ
ネタバレあり

ディア・ハンター」(1978年)で俄然注目されたものの「天国の門」(1980年)で大映画会社ユナイテッド・アーティスツを倒産させて以降余り冴えず、もう20年以上まともに映画を作っていないマイケル・チミノの監督デビュー作(兼脚本)。40何年か前に観て以来の再鑑賞。

偽牧師のクリント・イーストウッドが以前の強盗仲間から銃撃されて逃げるところへ、中古車を盗難してきた若者ジェフ・ブリッジスが現れ、結果的に助けてもらう。二人で旅を続けているところを、今度は大男ジョージ・ケネディとジェフリー・リュイスが襲い掛かって来る。二人も強盗仲間で、やがてブリッジスはイーストウッドが伝説の強盗犯サンダーボルトであると知る。
 二人はイーストウッドが大金を独占していると疑って襲ってきたわけだが、実は誤解。ブリッジスの発案で彼らは再び結束し、前に襲った警備の厳しい金庫を再び襲おうという常識外れの計画を実行に移す。

と書いてくると、一般的な犯罪映画に思われるだろうが、そのつもりで見ると当てが外れるし、チミノが敢えて外したところを捉えて批評すると的も外れる。
 つまり、スピード感やサスペンスを最初から求めていない非ジャンル映画的な作風で、もたついている(のんびりしている)とか捉えどころがないというのは批判の言葉ではなく、寧ろそれを作品の取り得と考えるべきなのである。
 喜劇ではないがズッコケ編で、最初奪った大金を隠した小学校を、第二の犯行でケネディとリュイスが死んだ後、とんずらした先で発見するというのもオトボケと考えた方が良い。

最終的に浮かび上がるのは、イーストウッドと彼を大物として慕うようになる若者の友情で、70年代流行った友情を交えたロード・ムービーの一ヴァリエーションとして、幕切れはなかなかの感慨を催させる。

ジム・クロウチの名曲「アイ・ガット・ア・ネーム」はこの作品で使われたと思っていたが、ブリッジス主演の別の作品「ラスト・アメリカン・ヒーロー」だった。

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この記事へのコメント

蟷螂の斧
2020年05月07日 06:27
おはようございます。大学時代に友達の下宿でこの映画(日本語版)を一緒に見ました。

>若者ジェフ・ブリッジス

彼が息絶える場面が悲痛でした・・・。

>ロード・ムービー

これからどんな事に出会うのか?そういうワクワク感があります。

>脚本の出来が良いですね。監督の処理も、東映の監督のようにダラダラさせずに切れが良い。

森一生監督の「陽気な殿様」「てんやわんや次郎長道中」すごく良かったです!

>リージョン・コード

VHSが主流だった時代が懐かしいです。
オカピー
2020年05月07日 18:44
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>大学時代に友達の下宿でこの映画(日本語版)を一緒に見ました。

僕は、マカロニ・ウェスタンの「ウエスタン」という作品で、同じような体験をしましたね。但し、既に始まっていた二か国語放送の原語版で見たような気がします。その時にその友人K君が「『激突!』なら楽勝なんだけどね(台詞が少ないので)」と言っていたのを思い出します。

>彼が息絶える場面が悲痛でした・・・。

そうでしたね。

その20年後貫禄のついたジェフ・ブリッジスが主演した「ワイルド・ビル」をほぼ続けざまに観てしまいました。意識しなかったのに。

>VHSが主流だった時代が懐かしいです。

ビデオ/アナログTVの場合は、欧州方式のPALと日米が採用しているNTSCという違いがありましたね。荻昌弘氏が「木靴の樹」のVHSを欧州で買ったのは良いが、方式が違って観られず弱ったと書かれていましたよ。
蟷螂の斧
2020年05月08日 06:49
おはようございます。

>ブリッジス主演の別の作品「ラスト・アメリカン・ヒーロー」

1970年代の雑誌「ロードショー」で彼がレーサーの服を着てる写真をよく見ました。一度見たい映画です。


>その20年後貫禄のついたジェフ・ブリッジスが主演した「ワイルド・ビル」

「The Door in the Floor」はご覧になりましたか?

>既に始まっていた二か国語放送の原語版で見た

僕も自宅でそういう事をしました。007映画。弟がムッとしていました。

>『激突!』なら楽勝なんだけどね

すごいお友達ですね!

>方式が違って観られず弱った

VHSもそうなんですか?音楽の場合はそういうのは無さそうですね。レコード、カセットテープ、そしてCD。
オカピー
2020年05月08日 19:41
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>「The Door in the Floor」はご覧になりましたか?

すっかり忘れていましたが、ジェフ・ブリッジスのフィルモグラフィーを当たっているうちに思い出しました。
 ジョン・アーヴィング原作らしくちょっとひねくれたところがありますが、なかなか上手い作品でしたよ。

>僕も自宅でそういう事をしました。007映画。弟がムッとしていました

まあ、当時何歳だったか解りませんが、弟さんの気持ちは解ります^^

>VHSもそうなんですか?音楽の場合はそういうのは無さそうですね。

TVの走査線等の問題ですね。欧州ではVHS(ビデオ)の信号も受信機同様PALですから、日本が採用したNTSC対応のTVやビデオでは観られません。

音楽はぐっと単純なのでありません。CDはやろうと思えば出来たでしょうが、余り意味がないのでやらなかったのでしょう。
蟷螂の斧
2020年05月09日 06:49
おはようございます。

>なかなか上手い作品でしたよ。

ジェフ・ブリッジスは失敗した作家であり、成功した児童文学者でもある役。面白かったです。

>ジェフリー・ルイス

「デリンジャー」「風とライオン」「トム・ホーン」「ブロンコ・ビリー」・・・etc.いろいろ出てるんですね。私生活では2回結婚して計10人の子供をもうけ、うち3人が俳優、3人がプロデューサーになったそうで。

>余り意味がないのでやらなかったのでしょう。

音楽は万国共通です。
オカピー
2020年05月09日 19:21
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>>ジェフリー・ルイス
>私生活では2回結婚して計10人の子供をもうけ、うち3人が俳優、
>3人がプロデューサーになったそうで。

ほおーっ、それはなかなか。芸能関係者が多く、謂わば芸能一家ですね。
 子だくさんで思い出すのは、現ソフトバンク・ホークスの工藤公康。現在の日本で5人子供を設けたのは、いくら高収入であったといえ、珍しいですよ。
 甲子園で初めて彼を観た時のカーブにはびっくりしました。僕らが濡れたカラーボールで落とすように(濡れたカラーボールでカーブを投げると時々とんでもない落ち方・曲がり方をする)急激に落ちました。恐らく江川以来のカーブの使い手だったと思います。
 高校時代の江川と比較できないのは、江川の時代はバックネット側からの撮影で、工藤の時代はセンター側からの撮影である為。プロに入ってからやっとセンターから見られるようになった江川は直球もさることながら、カーブもさすがでした。
蟷螂の斧
2020年05月10日 08:07
おはようございます。

>江川の時代はバックネット側からの撮影

僕が小学生の頃、それが普通でした。たまに(というより稀に)センター側からの映像があると驚きました!随分イメージが違うし、キャッチャーのサインも見えてしまう。

>工藤公康

ヘビースモーカーだけど選手生命が長かったです。江川以来のカーブの使い手だったのがその理由でしょうか?息子さん(俳優)が身体が大きくて運動能力も高い(顔もそっくり)けれど野球をやった事がないというのもいいですね。

>芸能一家

ジェフ・ブリッジスもそうですよね。「ロリ・マドンナ戦争」でのロッド・スタイガーとの親子役。現実とのギャップを楽しんで演じたのかも知れません。
オカピー
2020年05月10日 21:08
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>たまに(というより稀に)センター側からの映像があると驚きました!

そうでしたね。たまにありました。それを常態にしたのが1978年のプロ野球からだそうです。

>江川以来のカーブの使い手だったのがその理由でしょうか?

直球投手より変化球投手のほうが長持ちする傾向はあるでしょうね。

>ジェフ・ブリッジスもそうですよね。

父親はロイド・ブリッジス。僕は「真昼の決闘」くらいしか印象に残っていませんが。
 兄はボー。この間「ビリーブ 未来への大逆転」という映画に出ていたサム・ウォーターストンを見て、一瞬久しぶりのボー・ブリッジスかと思いましたが、ウォーターストンでした。太い眉毛が似ていました。
蟷螂の斧
2020年05月11日 07:13
おはようございます。BSから録画した映画「夜の訪問者」を見ました。テレンス・ヤング監督。出演はチャールズ・ブロンソン、リブ・ウルマン、ジェームズ・メイソン。アクションがカッコ良かったですが、脚本がイマイチという意見が多いようです。

>真昼の決闘

保安官助手の役ですね。

>ボー・ブリッジス

たくさんの映画に出ていますが、見た事がない作品ばかりです。残念・・・。

>1978年のプロ野球からだそうです。

1977年から連載された漫画「すすめ!パイレーツ」のおかげで若い女性にもプロ野球ファンが増えました。
オカピー
2020年05月11日 20:54
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>「夜の訪問者」を見ました。

1970年代に一度観ましたが、すっかり忘れていますので、また観るつもりです。脚本が本当に悪いか調べてみましょう。

>1977年から連載された漫画「すすめ!パイレーツ」

大学時代に聞いたことがあるかもですね。パイレーツと言えば、僕は大リーグのピッツバーグ・パイレーツを思い出してしまいますが。
 漫画や映画でスポーツのファンになってくれるのは、スポーツ・ファンでもある僕には嬉しい。それにしても、今年は残念な年になってしまいましたね。