映画評「バースデー・ワンダーランド」

☆☆★(5点/10点満点中)
2019年日本映画 監督・原恵一
ネタバレあり

児童文学者・柏葉幸子の作品「地下室からのふしぎな旅」のアニメ映画化で、すぐ隣にある異世界をテーマにしているところは「千と千尋の神隠し」に似ているが、かの作品はこの作者の作品に影響を受けて成り立ったらしい。なるほど。

小学高学年のアカネ(声:松岡美憂)は、母親ミドリ(声:麻生久美子)に自分の誕生日プレゼントを取りに行けという変な命令を受け、知人チイ(声:杏)の営む骨董店を訪れる。
 ところが、アカネが骨董店にあった手形に手を入れるとぴったり嵌り、その瞬間に地下室への扉が持ち上がり、異世界から来た錬金術師ヒポクラテス(声:市村正親)とその弟子ピポ(声:東山奈央)が現れるや、自分達の世界が水の枯渇による危機が迫っていると告げ、手形に手が合った為にシンデレラならぬ“みどりの風の女神”とされたアカネを連れていく。好奇心旺盛のチイは追いかける。

という形で始まり、以降、その世界で4人の冒険が繰り広げられる。

この世界の水の枯渇は、王家が代々水量に関係する“しずく切り”の儀式を行う王子休眠が原因とされ、それとは別に井戸破壊を図る悪党二人組が戦車を繰り出し鉄を強制的に接収していく。4人組は王子の問題をクリアすると共に悪党の企みを阻止すべく行動、とりわけみどりの風の女神アカネが奮闘し始める。

というお話は、ティーンエイジャー未満の子供達向けの内容で、消極的でネガティブな性格のアカネがポジティブな性格になるという成長物語の体裁。
 冒険物語の前半は丁寧に進むが、終盤特に王子や悪党の性格描写が不足気味かつその変化が拙速気味で、大人が見るには少々物足りない。最後まで観ると、母親ミドリがその名の通り先代“みどりの風の女神”であることが判る。映画は最初の場面からそれを示していて、この辺りの作劇はなかなか気が利いている。

日本製アニメらしく画面は美しく、特に異世界での風物・風景描写は魅力的で、得点源。逆に、「未来のミライ」と同様、子供の声が大人っぽすぎるのは良くない。上手い子役は大勢いるので使ってほしいが、大人の事情がそれを許さないとしたら、怪しからん。

錬金術師の風体が、ポプラ社版アルセーヌ・ルパンのよう。ルパン・ファンの僕としては嬉しいね。

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