映画評「パウロ 愛と赦しの物語」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年アメリカ映画 監督アンドリュー・ハイアット
ネタバレあり

紀元67年、皇帝ネロはローマ大火災を台頭著しいキリスト教徒、その首謀者をキリスト教使徒パウロ(ジェームズ・フォークナー)とし、斬首の判決を下す。市民の半数はネロが犯人であると思っている。
 そんな中彼を慕うギリシャ人の医師ルカ(ジム・カヴィーゼル)が獄卒を買収して獄中に訪れる。新任のローマ長官マウリティウス(オリヴァー・マルティネス)は二人が何かを記しているのを知り、回収するが、不穏なことは書かれていない。折しも彼の愛娘が呪術をベースにしたローマ医術では直せない難病にかかり、翌日死刑に附そうとしていたルカに頼らざるを得なくなる。
 ルカはキリスト教徒潜伏地区に長官を送って必要な用具・医薬を取り寄せる。マウリティウスは教徒たちを捕まえるかもしれない自分を派遣するというキリスト教徒のスケールの大きさに名状しがたい感動を覚える。ネロの命令である以上パウロの処刑は回避できない。

新約聖書の著者の一人に数えられている使徒パウロの晩年を愛弟子ルカを狂言回しとして綴る、現在の基準ではかなり正統的な伝記映画と言って良い。
 キリスト教の聖人・偉人の中でもごく初期の人物であるから、その不撓不屈の精神性や信念において普遍性が高く、従って、最近多いキリスト教説教(若しくは布教的)映画の如き、非キリスト教徒が見て不快になるような部分がないのが有難い。新約聖書によって殆ど知られている内容である以上、ターゲットは信心深いキリスト教徒ではないはずだから、そういう作り方であるのは賢明と言うべし。

最後の字幕から判断するに、日本初紹介になるらしい共同脚本・監督のアンドリュー・ハイアットは、宗教を超え、現在の民主主義国家においても見られる権力者からの圧力に抵抗する人々に対して声援を送っているのかもしれない。況や、全体主義国家においてをや。

しかし、映画としては、正統的と書いたように、かなり生真面目な作り方すぎてそう面白味がある方ではない。2004年の「パッション」でイエス・キリストを演じたカヴィーゼルがルカを演じるというのは面白い。

これを録画で観ていた時にWOWOWが「ベン・ハー」(1959年)を放送していた。面白い偶然! 「ベン・ハー」はそろそろ見直す時期だが、何しろ4時間に近い長編だからなかなか。

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