映画評「居眠り磐音」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2019年日本映画 監督・本木克英
ネタバレあり

時代小説には余り興味がないので、近年の作家や作品はよく知らない。本作原作である佐伯泰英の小説も知らないが、10年以上も前にNHKで放映されていた時代劇シリーズをちょっと見たことがある。正確には、Allcinemaの投稿を読んで思い出したというわけでござる。

豊後関前藩の武士・坂崎磐音(松坂桃李)は、江戸詰から帰国するや、祝言を挙げる予定だった許嫁・奈緒(芳根京子)の姉・舞が、夫で磐音の幼馴染に当たる慎之助に殺され、仇討の為に彼を殺した姉妹の兄・琴平(柄本佑)を上意により始末する羽目に陥る。
 許嫁の兄を殺した磐音は罪悪感から脱藩し、江戸で浪人生活を送るうちに、両替屋今津屋の用心棒を務めることになる。仲立ちしたのは大家(中村梅雀)であるが、発案者は今津屋に女中として勤めるその娘おこん(木村文乃)で、彼女は控えめなのに無類に強い彼を次第に慕うようになる。
 今津屋が用心棒を必要なのは、幕閣の力を得た同業者の有楽斎(柄本明)がチンピラや用心棒を使って脅迫するからである。磐音はチンピラや用心棒を次々と排除していくと共に、有楽斎の陰謀をつぶす為に様々な人を集める才覚者ぶりを見せる。
 磐音はやがて、お家断絶で食い詰めた奈緒が吉原にいることを掴むと、彼女の身請け代金稼ぎの為に身を粉にして働くのである。

この最後の一行はほぼ未来のお話で、小説等ではこの後磐音はおこんと結ばれるのだが、本編においては磐音と奈緒の貞操観に脱帽すればよろし。
 江戸時代の貞操観は、儒教の教えに基づいて女性に一方的に厳しいものであるだけに、このお話のように男性側も同じくらい強い貞操意識を持つのは不愉快ではない。実際には配偶者に色々と問題があることが多く、家と男性を中心とした儒教の考えは現実に沿わないのだが、日本人の中にはまだそこから脱し得ない人が多い。数年前にお笑い女性芸人が不倫問題を起こした議員に関し“人間ではない”と放った一言に驚いた。配偶者が人でなしであった場合に代替手段がなくても不条理と彼女は思わないのであろう。不幸な結婚をすれば彼女も理解出来よう。

閑話休題。
 儒教的な不具合が色々と垣間見えるとは言え、現代人の生活感情に訴求するだけの大衆性を具えた内容で、武士社会の理不尽な力関係、先に述べた純愛感覚、経済サスペンス的部分、殺陣の数々と幅広い要素を散りばめているので、約120分が軽快に過ぎていく。
 近年もっとアクロバティックな殺陣を見せる作品も少なくないが、正統的な時代劇であればあるほど重要になってくる武士の立ち姿を含めて及第点。

やや疑問に感じるのは、豊後から渡り歩いてきた奈緒が吉原の花魁としてお披露目をするまで期間が短すぎるのではないか。事件の半年後からお話が再スタートしているが、それからどれくらい時間が経ったのか判然としないながら、何年も経っているとは思えないのである。

2011年の春もひどかったが、今年の春もひどいことになった。慢性膵炎という持病を持つので、多少命の危険を感じる。その膵炎の薬が新型コロナに対する予防になる可能性があるというのは朗報だが。

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