映画評「記者たち 衝撃と畏怖の真実」

☆☆★(5点/10点満点中)
2017年アメリカ映画 監督ロブ・ライナー
ネタバレあり

五日前に観た「バイス」と併せて観ると面白い実話もの。近年アメリカでは記者の奮闘を描く実話ものが目立つ。政府や政治家が嘘を言うのは当たり前なので、記者には頑張って貰わないといけない。保守で一向に構わないが、政権の嘘を暴かないなら失格である。

2001年9月11日の同時多発テロを受けて、アフガニスタンに拠点を構えているビンラディンを追っていたはずのアメリカのブッシュ政権が、彼と深い関係のないはずのイラクへの攻撃を考えているらしいという情報を得た通信社的な新聞社ナイト・リッダーの記者ランデ―記者(ウディー・ハレルスン)とストロベル記者(ジェームズ・マースデン)が、大量破壊兵器があるとするニューズウィーク紙など有名紙の意見を尻目に、政府関係者に次々と当たり、その証拠は全くないという主張を続ける。
 米軍が侵攻までしてイラクを調べまくっても何も出て来ず、結局彼らの正しいことが証明され、音頭を取るような形になったニューズウィーク紙は謝罪する。

イラクを民主主義にしたいというイラクに侵攻するアメリカの大義名分も相当怪しいものであるが、この新聞社のワシントン支局長(ロブ・ライナー)が予言したように、イラクは分裂して未だに混乱を極めている。ブッシュが言った“イラクの安定した社会”は絵にかいた餅に終わった、と言おうか、元々そんなことは微塵も考えていなかったと思う。

政治そのもののお話はともかく、監督がロブ・ライナーだから映画として一応格好になっているが、捻りに捻った「バイス」を観た後では直球すぎる上に、短尺なので軽量級という印象が強い。フッテージで出て来る副大統領のバイスの言っていることがいかにも嘘に見えるのが、この作品を後から観た効果になっているくらい。
 もう少し(特に海外へ出る場面では)環境描写や時間経過を示す見せ方をした方が映画的になる。短くてスピード感があれば良いというものでもない。

メディアが信用できないという人も結構いるが、そんなことはない。信用できないのはやはり政権である。“個人情報保護”が彼らの保身に使われ過ぎる。確かにネット時代故に、公表により個人に迷惑をかけることもあり得るが、なるべくこの言葉を使わないで欲しい。検事長定年延長問題で、人事院の官僚が自分を馬鹿扱いにして首相を守る姿は、いつか見た風景である。

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