映画評「お米とおっぱい。」

☆☆★(5点/10点満点中)
2011年日本映画 監督・上田慎一郎
ネタバレあり

カメラを止めるな!」の大ヒットのおかげで、殆ど日の目を見なかったであろう上田慎一郎監督の長編デビュー作がWOWOWでも見られることになった。結論としては、別に見なくても損をした気にもならないが、大体デビュー作にその後の作品の発芽があるという通説が改めて確認される、くらいの価値はある。

内容は「十二人の怒れる男」(1957年)のよくあるパロディー。

ある公民館に5人の男、大塩武、高木公介、鐘築健二、山口友和、中村だいぞうがある議題の討論をしに集まる。彼らの目的は報酬の十万円である。マスター(コーヒー店のマスター)リーマン・F・近藤の案内で始まり、“お米とおっぱいのうちどちらを残すべきか”という誠にくだらない議題を話し合う。
 お米派がただ一人、というのは「十二人の怒れる男」以来の定石である。早く帰りたがる男がいるのも同様。そもそも最初から同じ土俵で語れない(と登場人物の一人も後半指摘する)ものを比べることに無理があり、喧喧囂囂の議論となる。

「十二人の怒れる男」やその元祖パロディー「12人の優しい日本人」と違って議論の結論自体に全く意味がなく、その選択をめぐる背景として各々の事情を浮かび上がらせるのが眼目である。その言動が彼らの事情の伏線となっていると次第に明らかにされる作り方は「カメラを止めるな!」に大いに通底するものがあり、“三つ子の魂百まで”の感を強くする。

最後にもう一段の落ちらしきものがあるが、これが「カメラを止めるな!」のようにきちんと収まらず、膝を打つと言うには程遠い。WOWOWで観る分には良いだろう。

芸名やタイトルに句読点を入れるのはどうかね。最初にやった人は偉いが、二番煎じはつまらない。

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