映画評「ブレス しあわせの呼吸」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年イギリス映画 監督アンディ・サーキス
ネタバレあり

実話ベースの難病ものである。少し変わっているのは、製作者ジョナサン・カヴェンディッシュの両親の物語ということ。難病者の家族が製作者として作ったのではなく、有名な製作者が自ら知る実話という意味において、難病ものは余り例がないのではないか。

1950年代後半茶を買う商売をするロビン・カヴェンディッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)は男性陣にもてもての美女ダイアナ(クレア・フォイ)を射止めるが、茶を買いに行ったアフリカで妻の妊娠が判明した直後にポリオによる重篤な急性灰白髄炎を起こし、手足どころか何も動かせなくなり、一時的には発声もできなくなる。
 絶望して死を希望するが、ダイアナはそうはさせじと奮闘し、やがて声を取り戻した彼は人工呼吸器の機能を備え付けた椅子を知人に開発させ、その普及に尽力する。発症からおよそ20年後喉からの出血が激しくなった彼は安楽死を希望し息絶える。成人したジョナサンは母と共にその旅立ちを見送る。

母親が立派であったということに尽きる。最初の彼女の力付けがなければ、ドイツの学会におけるロビンの感動的な発言も起らず、人々が人工呼吸器付きの椅子により人間的な生き方をするのが何年も遅れたであろうことを考えると、彼女の人生は素晴らしいものであったと思う。介護をすることに関しては泣き言は一言も言わない。彼女が嘆くのは夫が弱音を吐く時だけである。
 難病ものとしても実に素直で好感の持てる作り方をされているが、それ以上に夫婦愛の物語としてじーんとさせられる。

原題は動詞“ブリーズ”であって名詞“ブレス”ではない。この綴りが“ブレス”と読むと勘違いしないようにね、受験生の皆様。

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