映画評「スマホを落としただけなのに」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年日本映画 監督・中田秀夫
ネタバレあり

志駕晃のミステリー・サスペンスをホラー映画に実績のある中田秀夫が映画化。

原作に難があるのかもしれないが、実にとっちらかっている。原作がダメであったのなら、脚色で整理すればもう少し格好がついたであろうし、逆に原作を脚色が台無しにした可能性もある。

営業マン田中圭がタクシーにスマホを忘れ、恋人・北川景子が、拾ってくれた相手が指定したレストランに取りに行く。渡してくれたのは店員で、拾った本人ではない。
 折しも、山中で5人の女性の死体が発見され、刑事・原田泰造とITに強い新人・千葉雄大が捜査を開始する。被害者は長い黒髪の女性で、かつ、家族と疎遠な地方出身者という共通点がある。
 さて、取り戻した田中のスマホが人質ウィルスに感染し、IT関連会社の社員らしい成田凌が修繕する。
 彼のスマホを拾った長髪(?)の男は密室でサイバー機器をいじり、北川嬢の情報を色々と調べ出し、恋人たちが互いに相手を疑い出し、或いは知人たちに迷惑を掛かるよう細工を施していく。そして、遂に連続長髪女性殺害犯の本性を現し、ヒロインを誘拐する。

というお話で、サイバー犯罪が個人に及ばす恐怖を具体的に扱ったところだけがそれなりに興味深い。

捜査ものとしてまず戴けないのは、死体が発見された近所が全く調べられていないこと。警察は最初から都市部に拘っている。その後も出たとこ勝負的捜査を続ける。地理的情報が殆どないのも後半の展開を考えると弱点である。

このお話の理想的な展開は、ミステリーとして警察を主役にし、その結果として北川嬢の訳あり人生や恋人同士の関係を浮かび上がらせるという形である。TV「相棒」のレギュラー・プログラムのような形が良い。
 しかるに実際には恋人たちの人生模様が中心にあり(犯人と対峙している最中に、北川嬢によるかなり長い回想シーンが入るところによく現れている)、二人が犯罪に巻き込まれるサスペンス模様がその次に来て、警察の捜査が続く。
 後の二つもかなりの比重を置いて描かれるので、作品の性格がまるではっきりしないのである。捜査サスペンスにドラマが絡みつくように作った方が却って恋人たちについてももっと強い印象を生んだはずなのである。

この脚本はディテールにもまずいところが多く、とりわけ、ピンチになるまでいつも千葉雄大君が孤軍奮闘し、これが限界というところで原田刑事やその他警官が一斉にかけつけるという図を繰り返すのがミーハー向きで余りに拙い。特に一回目は明らかにすぐ近くにいる原田刑事が一向に姿を現わさないものだからイライラ。まるで大昔の時代劇のようで、苦笑が洩れる。

ホゲホゲ タラタラ ホゲタラポン

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