映画評「告白小説、その結末」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2017年フランス=ポーランド=ベルギー合作映画 監督ロマン・ポランスキー ネタバレあり ロマン・ポランスキー84歳の新作である。 母親の自殺をテーマにした実話小説が成功して一躍人気作家になったエマニュエル・セニエがスランプに陥る。熱烈なファンという女性エヴァ・グリーンと交流を続けた末に彼女…
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映画評「ゲット・アウト」 

☆☆☆(6点/10点満点中) 2018年アメリカ映画 監督ジョーダン・ピール ネタバレあり 一週間前に観た「ヘレディタリー/継承」がそうだったように、ホラー映画は新人の監督デビューに向いているらしい。終盤まで閉鎖的コミュニティの恐怖劇と思わせる本作も、ジョーダン・ピールという黒人監督のデビュー作に当たる。 筋骨逞しい黒人…
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映画評「偉大なるアンバーソン家の人々」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中) 1942年アメリカ映画 監督オースン・ウェルズ ネタバレあり オースン・ウェルズ第二作で、日本公開は製作から46年後の1988年まで待つことになる。 1870年代、アメリカの名門アンバーソン家の娘イザベル(ドロレス・コステロ)は、自動車開発に夢中の若者ユージン・モーガン(ジョセフ・コット…
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映画評「泳ぐひと」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 1968年アメリカ映画 監督フランク・ペリー ネタバレあり アメリカン・ニュー・シネマ元年(本格始動)の1968年に作られた異色作で、スターシステム時代の俳優バート・ランカスターが水泳パンツ一つで出ずっぱりというのがオールド・ファンを驚かせたにちがいない。原作はジョン・チーヴァー。再鑑賞作品。 …
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映画評「勝負師」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 1958年フランス映画 監督クロード・オータン=ララ ネタバレあり ドストエフスキーの数少ない未読作品たる中編小説「賭博者」を今日読み終えた。そこで、それをフランスのクロード・オータン=ララが映画化したこの作品を久しぶりに観て、比べてみることにする。 ドイツの温泉地バーデン=バーデン(原作…
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保険外交員語「そうなんですね」の本当の意味

 僕は「言葉の保守」を自任している。言葉の保守などという存在には大した価値がないだろう、と考えていたところ、例えば政治について討論する時に共通した言語の理解がなければ相互理解も覚束ないわけで、言葉の保守は実際には一等大事なのだと、ある哲学者が仰っていたのに僕は安心した。  さて、映画を観られない時期があったので、今日は言葉の話題で…
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映画評「ゴースト・ストーリーズ~英国幽霊奇談~」

☆☆(4点/10点満点中) 2017年イギリス映画 監督ジェレミー・ダイスン、アンディ・ナイマン 重要なネタバレあり。鑑賞予定の方は読まない方が無難。 邦題が少し面白そうな雰囲気を醸し出していること、舞台の映画化ということに興味を覚えて観てみる。 英国版大槻教授ことグッドマン教授(アンディ・ナイマン)がインチキ超常現象を…
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映画評「ヘレディタリー/継承」

☆☆★(5点/10点満点中) 2018年アメリカ映画 監督アリ・アスター 重要なネタバレあり ホラー映画は資金が少なくても済む場合が多く昨今は色々と作られているが、優れた面白いものになかなか当たらないので観ずに済ますことが多くなった。本作は無条件に観る【W座からの招待状】で紹介される作品だから観た次第。結論から言えばまずまずし…
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映画評「特捜部Q カルテ番号64」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2018年デンマーク=ドイツ合作映画 監督クリストファー・ボー ネタバレあり シリーズ第4作で、個人的には三度目の作品。例によって<未体験ゾーンの映画たち2019>にて日本で上映された作品なので、本ブログでは日本劇場未公開扱い。  デンマーク版「相棒」として毎回楽しませてもらっている。我が邦の「…
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映画評「コーヒーが冷めないうちに」

☆☆★(5点/10点満点中) 2018年日本映画 監督・塚原あゆ子 ネタバレあり 昔は時間を移動すれば何でもタイムスリップものとかタイムトラベルものとか言ったが、現在では昔の自分と会うことのない本作のようなタイプはタイムリープものと言うことが多くなったらしい。 本作の仕掛けは、純喫茶の一つの椅子が一種のタイムマシンである…
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映画評「ハナレイ・ベイ」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2018年日本映画 監督・松永大司 ネタバレあり 村上春樹の短編小説の映画化ということで観てみた。 ハワイのカウアイ島で日本人少年タカシ(佐野玲於)がサーフィン中に鮫に襲われ落命する。シングルマザーのサチ(吉田羊)は現地で火葬し、現地の官憲が取っておいてくれた手形を受け取らずに帰国する。 …
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映画評「ヒトラーを欺いた黄色い星」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2017年ドイツ映画 監督クラウス・レーフレ ネタバレあり ナチスによるユダヤ人迫害が人類史上最悪の蛮行であることは理解しているが、ホロコースト絡みはさすがに作られ過ぎという気持ちが僕の内心に起りつつある。 本作はユダヤ人の潜伏生活を描いた作品であるから「アンネの日記」型ながら、アングルが…
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映画評「花筐/HANAGATAMI」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2017年日本映画 監督・大林宣彦 ネタバレあり 大林宣彦監督の“戦争三部作”の最終作。原作は檀一雄の「花筐」であるが、驚いたことに、オリジナルの脚本自体はデビュー作「HOUSE/ハウス」より以前に書かれていた。この作品から始まれば、大林監督はファンタジーではなく幻想映画の監督と言われることにな…
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映画評「野のなななのか」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2014年日本映画 監督・大林宣彦 ネタバレあり 大林宣彦監督による【戦争三部作】第2作。圧倒された前作「この空の花 長岡花火物語」を踏襲したところが多く、その登場人物であった山下清らしき人物が一列に並んだ楽隊の最後尾で太鼓を叩いている遊びまである。しかし、本作は前作ほど混沌としていないが故に却…
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映画評「食べる女」

☆☆★(5点/10点満点中) 2018年日本映画 監督・生野慈朗 ネタバレあり これも小説(筒井ともみ)の映画化ということで見たのだが、また空振り気味。 古書店経営で雑文書きの女性小泉今日子の許には様々な女性が集まって来る。  同世代は料理店経営の鈴木京香で、彼女から外国女性シャーロット・ケイト・フォックスに間貸しを頼…
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映画評「億男」

☆☆★(5点/10点満点中) 2018年日本映画 監督・大友啓史 ネタバレあり 今月は邦画ばかりになりそうだから、若い俳優が出る作品はなるべく避けようとしているのだが、本作はコミックではなく小説(川村元気)の映画化と知ったので、観ることにした。 偶然もらった宝くじが大当たりして3億円を当てた図書館司書の男性・佐藤健が大金…
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映画評「さびしんぼう」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 1985年日本映画 監督・大林宣彦 ネタバレあり WOWOWが大林宣彦監督特集(6本)を組んでいるが、本作は昔録ったライブラリーから。 30年くらい前に初めて観た時は、前半に満載されるはしゃぎ過ぎたギャグに足を引っ張られて世評ほど良いとは思わなかったが、今回は非常に感動した。こういうノスタ…
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映画評「この空の花 長岡花火物語」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2012年日本映画 監督・大林宣彦 ネタバレあり 大林宣彦の作品は殆ど観て来たのだが、近作はWOWOWに登場しないこともあって、見られずにいた。今回WOWOWは「花筐/HANAGATAMI」の初放映に合わせて全6作の特集を組んだ。初期の3本と、戦争三部作と言われる近作3本である。できれば、もっと…
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映画評「ふりむけば愛」

☆★(3点/10点満点中) 1978年日本映画 監督・大林宣彦 ネタバレあり 今月は観るべき作品が少ないので、大林宣彦監督特集で出て来た本作を40年ぶりに再鑑賞することにした。  山口百恵は将来の夫君・三浦友和との共演で文芸作品のリメイクに出続けたが、本作でオリジナル作に挑戦することになった。それは良いのだが、ジェームズ三木…
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映画評「瞳の中の訪問者」

☆☆★(5点/10点満点中) 1977年日本映画 監督・大林宣彦 ネタバレあり 「HOUSE/ハウス」に続く大林宣彦監督のメジャー映画第2作。“第一作が名作で、本作は珍作”という意見を読んだが、アイドル候補を使いながらやりたいことをやりまくった印象のある第一作こそメジャー映画としては珍作であろう。  大林監督は作品を振り返っ…
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映画評「HOUSE/ハウス」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 1977年日本映画 監督・大林宣彦 ネタバレあり 大林宣彦のメジャー映画デビュー作で、40年ぶりくらいの再鑑賞。 夏休み。仲良し女子高生7人が、映画音楽作曲家の娘・池上季実子の伯母・南田洋子が住む古い屋敷に行くことになる。彼女の亡き母親も少女時代に住んでいた実家である。しかし、行かず後家の…
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映画評「皆殺しの天使」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 1962年メキシコ映画 監督ルイス・ブニュエル ネタバレあり 独裁政権のスペインから逃避していたメキシコでのルイス・ブニュエルは解りやすい作品ばかりだが、これは例外的にシュール。難解というよりシュールなのである。再鑑賞。 上流階級のパーティーを準備していた召使たちが、彼らが外から帰ってくる…
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映画評「アントマン&ワスプ」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2018年アメリカ映画 監督ペイトン・リード ネタバレあり 何回も述べたようにマーヴェル・コミックス映画版の脚本レベルは概して高い。この「アントマン」シリーズも見通し良好、お笑いの配分がうまく、本当はもっと多めに☆★を進呈したいのだが、マーヴェル・コミックが余りにも作られている現状に食傷しているこ…
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映画評「この世界の片隅に」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中) 2016年日本映画 監督・片渕須直 ネタバレあり こうの史代という漫画家のコミックを、片渕須直がアニメ映画化した。個人的に高く評価した「マイマイ新子と千年の魔法」の監督だ。レベルは高かったのに鑑賞された方が少なくキネマ旬報でも殆ど無視された作品だが、こちらは早めに評判になってキネ旬で1位になっ…
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映画評「勝手にしやがれ」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 1959年フランス映画 監督ジャン=リュック・ゴダール ネタバレあり 映画界では無軌道な若者を描いた作品が多く新しい潮流を生み出した。本作やルイ・マル監督「死刑台のエレベーター」(1957年)がヌーヴェル・ヴァーグを、「俺たちに明日はない」(1967年)がアメリカン・ニュー・シネマを。  しか…
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映画評「フィフティ・シェイズ・ダーカー」

☆☆(4点/10点満点中) 2017年アメリカ=中国=日本合作映画 監督ジェームズ・フォーリー ネタバレあり 文学趣味に多少の面白味を感じただけで感心できなかった第一作だけに、この続編は全く観る気がなかった。しかし、唯一有料契約しているWOWOWが若い俳優が主演する邦画でお茶を濁し洋画にめぼしい放映が少ない(昔観た洋画凡作でも…
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映画評「パスト&フューチャー 未来への警告」

☆☆(4点/10点満点中) 2018年スペイン映画 監督ダニエル・カルパルソロ ネタバレあり またまた日本劇場未公開のサスペンス映画である。WOWOWが新しい日本映画を大量にやるから未公開の洋画から連続してピックアップする羽目になった。ライブラリーの古い映画を選ぶという手もあるが、それらは長いものばかり残っているので、少し素材…
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映画評「パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 1973年日本映画 監督・高畑勲 ネタバレあり シリーズ第二弾。とりあえずお話から。 前作のまま、ミミ子ちゃん(声:杉山佳寿子)とパパンダ(声:熊倉一雄)とコパンダのパンちゃん(声:丸山裕子)の疑似家族状態は続いている。  ある時サーカスからはぐれた子虎が家に紛れ込み、一員に加わるが、す…
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映画評「パンダコパンダ」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 1972年日本映画 監督・高畑勲 ネタバレあり 忙しくて時間が取れない。かと言ってブログをスキップするのも避けたい。というわけで、WOWOWの高畑勲監督特集で録っておいた作品群からこの短編(34分)をピックアップ。初鑑賞でござる。 しかし、実質的に、監督より脚本や画面設計を担当した宮崎駿御…
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映画評「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」

☆☆★(5点/10点満点中) 2017年タイ映画 監督ナタウット・プーンピリヤ ネタバレあり TV「アンビリバボー」は暫く観ていた。その模倣番組「ザ!世界仰天ニュース」は全く観ない。何となれば、日本テレビの悪い癖で何でも出演者のネタばなしに持って行こうとする。動機が不純なんだわ(“ロックンロール・ウィドウ” by 阿木燿子)。…
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映画評「プーと大人になった僕」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2018年イギリス=アメリカ合作映画 監督マーク・フォースター ネタバレあり マーク・フォースターはやはり英国正統派ドラマを撮るのがふさわしい。同じ英国でもせわしい「007/慰めの報酬」(2008年)では彼のショット感覚の良さが全く発揮できなかった。 以前「ネバーランド」(2004年)で“…
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