映画評「瞳の中の訪問者」

☆☆★(5点/10点満点中)
1977年日本映画 監督・大林宣彦
ネタバレあり

HOUSE/ハウス」に続く大林宣彦監督のメジャー映画第2作。“第一作が名作で、本作は珍作”という意見を読んだが、アイドル候補を使いながらやりたいことをやりまくった印象のある第一作こそメジャー映画としては珍作であろう。
 大林監督は作品を振り返ってみると、一種のアイドル映画を撮り続けた。大林監督の名を世間に定着させた尾道三部作もアイドル映画であるし、本作も極めてアイドル映画らしい内容で、随所に見られるお遊びを除けば、西川克己が撮っても不思議ではない内容である。今回が初鑑賞。

手塚治虫の有名コミック「ブラック・ジャック」の一挿話の映画化であるが、ブラック・ジャックのマンガが画面に現れて初めて知り、大変驚いた。

大学のテニス選手片平なぎさがコーチ山本慎吾の打ったボールを目に当てて片目を失明する。当のコーチや学生寮のルームメイト志穂美悦子が視力回復に奔走した結果、医師免許を持たない天才医師ブラック・ジャック(宍戸錠)につき当たる。手術は成功するが、なぎさ嬢はそれ以来ある男性を何度か見る。悦子嬢は幻視と笑いかつ心配する。
 しかし、その男・峰岸徹は実在し、なぎさ嬢は何度か会う。ブラック・ジャックによれば、角膜は殺人被害者のものらしい。コーチと悦子嬢は峰岸が犯人である可能性が高いと行方が分からなくなった二人の居場所を探す。

というちょっとしたミステリー・サスペンス。サスペンスの構成としてはかなり緩い。ヒロインが男を幻視するのがいずれも水に絡み男がヒロインを殺す可能性が高いと判明、殺害事件が起きた場所が解っているのに、そこへ行く前に追跡側が被害者の夫に会うのは順番が逆で理解不能、かくして終盤に腰砕けの印象が強い。実質的に片平なぎさ自身を最大の見どころとした作品だから、そう思えば腹も立たない。

前作に続いてゴダイゴの連中が出ているが、SF研究家で映画評論家の石上三登志がブラック・ジャックを紹介する眼科医として出て来るなど脇役のキャスティングにお遊びが目立つ。

神妙な湖畔の屋敷の場面で手塚治虫の名物ヒョウタンツギの絵があるのも笑わせるが、ヒロインが峰岸と初めて話をする廃屋に“ぴあ”と“してぃろーど”と読める字があった。1970年代から80年代に学生に欠かせない情報雑誌だった。貧乏学生の僕は月刊の“シティロード”を買っていたものだ。

スポーツ・ファンとしての疑問。彼女たちがやっていたテニスは、カウントの仕方が軟式ながら、ボールの跳ね方は硬式のようにも見えた。大学の軟式テニスでは、本作のシチュエーションはちと不自然。

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