映画評「バリー・シール アメリカをはめた男」

☆☆★(5点/10点満点中)
2017年アメリカ=コロンビア=日本合作映画 監督ダグ・リーマン
ネタバレあり

素材としてはつまらなくないが、日本人にはアメリカの政治と外交の面で解らないところが少なからずある為、僕を含めて評価が上がりにくいのは仕方がない。

しかし、【Yahoo!映画】にあった“興行的に失敗”というのはデマだ。実際には批評家の評価は高く、Wikipediaによれば世界的配収は製作費(約55億円)の2.6倍となっている。その後ビデオ(DVD、ブルーレイのこと)販売や放映権料などで増えているだろうから、上等の部類だろう。IMDbの今日までの採点結果は13万人により加重平均7.2となっていて、これも悪くない。投票数も大ヒット作と呼称するに資格十分である。

空軍での経験のあるTWAパイロット、バリー・シール(トム・クルーズ)が、CIAにちょっとした密輸を咎められるどころか、その飛行技術を買われ、中南米ゲリラの空撮を求められる。冒険好きの彼は引き受け成功に次ぐ成功を収めるが、コロンビアの麻薬カルテルにも見初められ、密輸を依頼される。彼自身も密輸方法を考える。
 中南米の反米的政権をつぶすことに躍起のCIAは親米的な所謂コントラ(反政府組織)に銃器を渡す仕事を彼に依頼するが、結局半分くらいは麻薬カルテルに渡り、CIAの思惑通りには進まない。
 やがて彼は麻薬捜査を進めていたDEA(麻薬捜査局)、不法な資金運用を調査するFBIなどに目を連けられて逮捕されるが、司法取引でカルテルの違法行為を写真に収める危険な仕事を引き受ける羽目になる。しかし、政府の暴走により彼の裏切り行為がカルテルにばれ、最終的に暗殺されてしまう。

アメリカ行政の複雑なところが良く出、かつ、笑えるのはFBI、DEA、ATF(アルコール・煙草・火器及び爆発物取締局)及び地元警察が現場でバッティングする場面で、そこに当然裁判所も絡んで、工作組織であるCIAは手を出せない。

アメリカは、第一次大戦前後に英国が中近東をかき回した後、OSSやその後身CIAを使って80年に渡り中近東を筆頭に世界各国の政治を色々と動かしてきたが、同時にCIAはイラク戦争の発端となった情報など色々ヘマをしでかしてきた組織としても有名になりつつある。このバリー・シールが絡んだコントラへの工作も上手く行かなかったことが判る。

レーガン政権が対立状態にあったイランと裏取引をして得た資金をコントラに渡していたことにも簡単に触れられているが、途中若きブッシュ・ジュニアが主人公と交錯する場面を挟むことで、現在のトランプ政権にまでアメリカの他国への工作が脈々と続いていることをそこはかとなく匂わせる。アメリカのインテリにはその辺りがピンと来るから悪くない評価を得ているのであろう。割合軽妙な作りになっているのは、やはりこの映画がそうしたアメリカの活動に批判的な立場だからと思って良いのではないか。

しかし、僕は、最近この手の実話ものがアメリカ・メジャー映画において余りに多い現実と、やはり直感的に解りかねるアメリカの内情とが気になって☆を多く進呈しかねるのである。

アメリカとロシア。トランプが大統領になってから、仲が良いのか悪いのか本当のところが解りにくくなっている。

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