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zoom RSS 映画評「友罪」

<<   作成日時 : 2019/05/13 09:19   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2018年日本映画 監督・瀬々敬久
ネタバレあり

瀬々敬久は、余りにデタラメすぎる珍作「感染列島」(2008年)を作ると思えば4時間を超える純文学の力作「ヘヴンズ ストーリー」(2010年)を作るといったように、なかなか掴み切れない監督であるが、大袈裟な傾向に走りがちなのは共通した特徴であろう。

本作は、間違いなく、20年ほど前に世間を騒がせた酒鬼薔薇聖斗(少年A)の事件に着想の源を得ている。原作は薬丸岳の同名小説。

現在。挫折した元ジャーナリスト生田斗真が無口な同世代の青年・瑛太と一緒に町工場に入社し、先輩二人のいる寮に入る。
 その頃少年が殺される事件が起き、調べていた雑誌記者の美人・山本美月が行き詰って、恋人でもあった生田に相談する。中学時代の友人の自殺に罪悪感を持つ彼は、それがきっかけで十数年前の連続少年殴殺事件の犯人少年Aの現在が瑛太であることに気付き、調査をしてみる。瑛太は自分を気にかけてくれる生田に友情を感じ、彼が指を切断する重傷を負った時に最大限の協力をし、二人の間には一種の友情が育まれる。
 が、山本記者は彼がスマホで録った少年Aの画像を無断で週刊誌に載せ、生田をひどく傷つける。少年Aの正体を明らかにされてしまった瑛太はそんな彼に強く当たらないものの、親しくなっていた訳アリ女性・夏帆から避けられた後、会社から去って行く。
 遂に生田は行くことのできなかった、友人が自殺した大樹のある野に赴く。と、そこに瑛太がいるではないか!
 
という物語で、最後に生田が見る瑛太は心象風景で、実際にそこにいたわけではないだろう。主人公たちが色々な人と会い様々な体験を経た後遂に勇気を奮って人生のターニング・ポイントが起きた地点に立つ、というのが主題である。

生田君や瑛太君だけでなく、生田君を病院を運ぶ時にだけ直接二人に絡んでくるタクシー運転手・佐藤浩市も、無免許運転で3人の少年を轢き殺した息子が事故を起こした地点に赴く。
 彼の存在は贖罪というなかなか難しい問題を打ち出す為に傍流のお話としてかなり長尺に渡って描かれるが、序盤のうちは要領を得ないという印象に貢献し、観終わった後はバランスが悪いという印象をもたらす。主題展開上の意図は解るが、作品としての落ち着きを考えると、量的にぐっと減らすべきであった。

構成上の問題はともかく、犯罪発生後に起きる社会的な問題を浮き彫りにして見応えはある。確かに本人に責任があるとは言え、一度事件や事故を起こした加害者は絶対許されないのかという問題は哲学的に重い。この映画における瑛太は精神的に不安定であったり、過剰な贖罪意識のため自己破壊的であったりはするものの更生した印象はある。しかし、実際の人間の内面が映画のようにはっきり解るわけではない以上、少なくとも被害者家族が真に加害者を許すことはないであろう。
 同時に、外野が加害者について時には被害者について必要以上に騒ぐことは、心ある我々第三者にも不愉快さをもたらす。瑛太が夏帆がAV嬢をしていたことを騒ぐ同僚に“つまらない奴だな”と放つ発言はその不愉快さを意味する。そして、山本美月記者が写真を出してしまうのは、自分の成功と出世しか頭にない彼女の心境を表し、実に厭らしいと言うしかあるまい。

僕は新聞メディアは相当信頼するが、週刊誌には不快に思うことが多い。芸能人や皇室に関するスクープは程度が低すぎる。それで売れるとしたら民度に問題がある。

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友罪
町工場で働くことになった、元週刊誌記者の男・益田と、同い歳の無口な男・鈴木は、同じ寮で暮らし少しずつ親しくなっていった。 ある事件をきっかけに益田は、17年前の連続児童殺人事件の犯人“少年A”が鈴木ではないかと疑い始める一方で、中学時代に自らが犯した罪を思い起こす…。 ヒューマン・サスペンス。 ≪心を許した友は、あの少年Aだった。≫ ...続きを見る
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