映画評「のみとり侍」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年日本映画 監督・鶴橋康夫
ネタバレあり

小松重男の「蚤とり侍」を鶴橋康夫が映画化したコメディー時代劇。「テルマエ・ロマエ」以降妙にご贔屓になってしまった阿部寛が出演しているので観てみた。

賄賂横行で悪名が高くなった(実は嘘だったらしい)老中田沼意次時代。長岡藩の勘定方小林寛之進(阿部寛)が藩主(松重豊)の不興を買い“猫の蚤とりになって無様に暮らせ”と放逐されてしまう。
 江戸に出た彼は“蚤とり”の斡旋業たる親分夫婦(風間杜夫、大竹しのぶ)の厄介になり、“蚤とり”の実情が孤独な女性に添い寝する売春(出張売春)であることを知る。亡妻にそっくりの妾おみね(寺島しのぶ)の客となった彼は自分の性技が甚だ劣等であることを知り、街中で助けた小間物問屋の婿養子・清兵衛(豊川悦司)の技巧を学んで実力を付ける。
 が、おみねの旦那であった田沼が失脚すると、“蚤とり”が違法行為になって寛之進らは捕縛されてしまい、やがて藩主のお裁きを受けることになる。さてどうなるか。

というお話で、お話としてなかなか上手く構成されている思われるのは、貧乏長屋で倒れた武士階級の若者(斎藤工)の病気を助ける為に妻に追い出されて住み着くようになった清兵衛と寛之進が奔走することが、紆余曲折の末に藩主の気持ちを決定することである。その決定は、喜劇仕立てであるから推して知るべしなので、改めて述べるまでもあるまい。
 しかし、それは構成上の上手さであって、例えば藩主がそういう心境に至る様子が余りにも呆気なく、それどころか僕には“とういうこと?”と思われたくらいで、ここはもっと丁寧に進めないと折角積み重ねた努力が無駄になってしまう。従って作品全体としては不満が多い。

しかし、江戸時代に実際にあった職業についてある程度勉強でき、一通り退屈させないので、暇のある方は観ても良いだろう。

序盤のうち主人公のモノローグを随時挿入するところは「テルマエ・ロマエ」をパロっていると微笑ましく思ったものの、中盤以降殆どなくなって阿部寛故の面白味が薄くなる。
 音楽は岡本喜八の時代劇を意識したようなジャズ風味で、時代劇に合わないという意見もあるが、正統派の時代劇ならともかく、喜劇だから軽妙な感じが出て悪くない。

最近原作の題名を微妙にいじる邦画が増えちょる?

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  • のみとり侍

    Excerpt: 老中・田沼意次の規制緩和により、金になるなら大抵のことが許された江戸の世。 越後長岡藩の勘定方(会計係)として出世街道を邁進していた小林寛之進は、藩主・忠精の逆鱗に触れ左遷されてしまう。 その左遷先は.. Weblog: 象のロケット racked: 2019-04-05 18:52