映画評「続・さすらいの一匹狼」

☆☆★(5点/10点満点中)
1965年イタリア映画 監督ジョージ・フィンリー(イタリア名ジョルジョ・ステガーニ)
ネタバレあり

今月初めに観た「さすらいの一匹狼」とは全く関係がないどころか、こちらのほうが製作が古い。マカロニ・ウェスタンの配給会社は本邦公開順に適当に邦題を付けていたのだ。同じような例に「続・荒野の用心棒」がある。

で、本作は僕が意識して初めて観たマカロニ・ウェスタンと記憶する。50年ぶりくらいだから懐かしいが、全く憶えていないので、初見に等しい。

土地を買ったばかりの青年ジュリアーノ・ジェンマが知人テッド・カーター(イタリア名ネッロ・パッツァフィーニ)に騙されて他人の牛を買わされ、町へ引き連れて行った結果、本来の所有者に泥棒呼ばわりされる。弁明空しく銃撃されたので正当防衛で相手を殺してしまい、縛り首になりかけるところを逃れて、真犯人カーターを求めて荒野を彷徨っていると、全裸で荒れ地に縛り付けられている美人イヴリン・スチュワート(イタリア名イーダ・ガッリ)に遭遇した為救出し、町まで連れて行き医者に診てもらう。
 彼女によれば、カーターが駅馬車を襲い自分を拉致した三人組の一人なのだが、三人組の一人が町の実力者ピーター・クロス(フランス名ピエール・クロッソワ)のバカ息子マックス・ディーン(イタリア名マッシモ・リギ)である為、ジェンマはイヴリンの手当てをした医者ロベルト・カマルディエル以外に信用されない四面楚歌状態に陥る。
 敵はジェンマだけでなく目撃者であるイヴリンも排除しようと狙ってくるが、死人が出るごとにジェンマの立場は益々苦しくなる。それでも状況を冷静に判断する保安官イエスス・プエンテの信頼を遂に勝ち得て、クロス率いる町民の手から逃れる為に時間稼ぎをしてくれ、ジェンマは彼女を連れて逃走する。

勿論そんなに簡単に終わるわけもなく、その後クロスの追手を向こうに回す多勢に無勢の撃ち合いがハイライトとなっている。

多くの方が認めるように非常に本場の西部劇に近いテイストで進められているのに一応好印象を覚えるが、まだっるこく進行するうちに地が出て来る物語が弱体。特に往生際の悪い息子がジェンマを狙ったのに横切った父親に当たって殺してしまう、なんてのは下手な脚本である。

しかし、【Yahoo!映画】にある“息子も死ねば最高だった”という趣旨の意見には賛成できない。下手な脚本なりに、保安官が“このバカ息子をジェンマの無罪(牛泥棒とその結果の殺人について)を証明する司法取引に使う”と現在の法律用語に翻訳すればそういう意味の発言をするように、帳尻が合っているのである。

この作品ではジュリアーノ・ジェンマとなっているが、出世作「荒野の1ドル銀貨」ではモンゴメリー・ウッドとクレジットされていた。アメリカ人に見せかけたのだ。イタリア製西部劇ではこの手が流行った。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

ナイス

この記事へのコメント

蟷螂の斧
2019年02月25日 19:16
オカピー教授。こんばんは。
先日BSでこの映画を見ました
僕が一番気に入った登場人物は誰でしょう?
簡単過ぎるヒント。妻・子供・家・・・etc.

>映画では悪役が多いデス。

石橋蓮司さんは悪役が似合います。僕が子供の頃に見たNHK少年ドラマ「その町を消せ!」も良かったです

>日産の経理はただの経理ではない

いずれは大黒柱頑張って欲しいです。
オカピー
2019年02月26日 18:38
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>僕が一番気に入った登場人物
保安官でしょう。
含みのある善人で、なかなか味わいがありましたね。

>石橋蓮司さん
僕が東京で暮らし始めた1970年代後半くらい「ぴあ」「シティロード」といった情報誌で騒がれて人気爆発した記憶がありますね。
 まだロマン・ポルノにも出演していました。今だって製作されれば出るでしょうけど、本体がなくなってしまった。

>日産
姉の情報によれば、やはりトヨタにすれば良かったと言ったとか言わなかったとか(笑)。
 頭は良いけど、“負けず嫌いじゃないところがダメなのよ”とは姉の弁。何しろ他人に対して怒ったことがないらしい。もしからしたら、春分の日あたりにお墓参りにやってくるかもです。
蟷螂の斧
2019年02月27日 17:40
オカピー教授。こんばんは。

>ジェンマを狙ったのに横切った父親に当たって殺してしまう

苦笑しました。まあマカロニウェスタンらしいかも知れません

>保安官でしょう。

当てて下さってありがとうございます

>含みのある善人で、なかなか味わいがありましたね。

演じた役者さん。調べたけど資料なしです

>「ぴあ」「シティロード」

凄かったんですね人気者。

>何しろ他人に対して怒ったことがないらしい

若いのに人間が出来ています
オカピー
2019年02月27日 21:21
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>演じた役者さん
イエスス・プエンテというな名前から判断するとスペイン系。本作以外に公開された作品はないかもしれませんねえ。僕の調べでは1930年生まれで、2000年に亡くなっています。

>若いのに
生まれもっての性格なんでしょう。話していても楽ですよ。もう一人の甥とは全然違います。
蟷螂の斧
2019年03月03日 05:42
オカピー教授。おはようございます。

>イエスス・プエンテ

色々調べて下さってありがとうございます

>もう一人の甥

こちらは怒りっぽい?

閑話休題。
ここのところ僕は「レッズ」と「ドクトル・ジバゴ」を続けて見ました
両方とも3時間以上の長い作品です
オカピー
2019年03月03日 21:53
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>色々調べて下さってありがとうございます
どういたしまして。

>怒りっぽい?
それもあるし、人の話をきちんと理解しないで発言することが多い^^;

>「レッズ」と「ドクトル・ジバゴ」
体力が要りますね^^
両方ともロシア、ソ連がらみの作品で、「ドクトル・ジバゴ」は映画館で一度、TVで二回観ている、好きな作品です。「レッズ」は映画館で一度観ました。ウォーレン・ビーティとしてはなかなかうまく作ったという印象です。いつかその原作を読もうかと思っているところ。
蟷螂の斧
2019年03月05日 06:07
オカピー教授。おはようございます。

>ウォーレン・ビーティとしてはなかなかうまく作った

才能がある人ですそして私生活は派手

>「ドクトル・ジバゴ」は映画館で一度

長かった事でしょう途中で休憩時間があります。先日のBSと同じで音楽が流れるのでしょうか?画面は何も映らないんですか?
オカピー
2019年03月05日 21:14
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>私生活は派手
僕が映画を観始めたのは、「俺たちに明日がない」が流行った後。その時はそういうイメージがありませんでしたが。

>休憩時間
大体映画館では、幕が下りた状態で音楽が流れることが多いですね。1973年のリバイバルで観た「ベン・ハー」のインターミッションでは何もなかったような記憶があります。
蟷螂の斧
2019年03月10日 08:43
オカピー教授。おはようございます。

>「ベン・ハー」のインターミッション

音楽も流れないのでしょうか?

>「俺たちに明日がない」

10年ぐらい前にBSで「イージー・ライダー」を放映。
山本晋也監督がニューシネマとして紹介そして、ニューシネマの先駆けとして次回放映したのが「「俺たちに明日はない」やっぱり凄い作品でした

>フランス映画

先ほど「O嬢の物語」を見ました
主演のコリンヌ・クレリーと言うと、どうしても「007ムーンレイカー」を思い出してしまいます
オカピー
2019年03月10日 19:16
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>音楽も流れないのでしょうか?
どうでしたかなあ。
多分流れていたと思いますが、当然トイレ・タイムになりますので、憶えていないことも多いですね。

>「俺たちに明日はない」
事実上ヘイズ・コード(アメリカ版映倫)がなくなった年ですね。正確には翌年ですが、これで言葉遣いなども現実そのものになってきました。

>コリンヌ・クレリー
僕は逆で、彼女と言えば「O嬢の物語」で売り出した女優の印象。メジャーの「007」に出た時はこれで出世していくのかと期待しましたが、そうなりませんでした。
蟷螂の斧
2019年03月14日 18:33
オカピー教授。こんばんは。

>当然トイレ・タイムになります

そういう事でしょうね

>これで言葉遣いなども現実そのもの

ヘイズ・コードへのコメントは難しいです

>これで出世していくのか

ボンドガールにならない方が女優として成長すると言う意見もありますが、どうなんでしょうか?

>僕は逆で

いやいや、僕の方が逆です
名優オマー・シャリフの存在を知ったのは亜流007映画だし・・・・
オカピー
2019年03月14日 20:46
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>ヘイズ・コード
その時代の反動がすさまじく、今の乱れに乱れたアメリカ映画に至っています。
今世紀に入ってからは、例のポリティカル・コレクトネスが映画界を席巻し、映画作りを非常に窮屈なものにしています。結果論ですが、寧ろヘイズ・コードのほうが映画の為には良かったくらい。

>ボンドガールにならない方が女優として成長する
確かに若いうちに出演して大物になった女優は殆どいないんですよね。「死ぬのは奴らだ」のジェーン・シーモアなどはそれなりに頑張ったものの、大型新人だったのでもっと大物になっても良かった気がします。

>名優オマー・シャリフの存在を知ったのは亜流007映画
彼も70年代に入ると一時の人気はなかったですから、そういう方も多いでしょう。

この記事へのトラックバック