映画評「ワイルド・スピード ICE BREAK」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2017年アメリカ=日本=中国合作映画 監督F・ゲイリー・グレイ
ネタバレあり

2001年に登場した第一作は謂わばプログラム・ピクチャーに過ぎなかったが、次第にスケールを大きくして、今や「007」「ミッション:インポッシブル」と肩を並べる事実上のエージェント映画になった。

キューバで骨休めをしていたドム(ヴィン・ディーゼル)の許に悪縁らしい美人サイファー(シャーリーズ・セロン)が現れ、一枚の写真で脅迫する。その為彼はファミリーを裏切って、武器商人から一致協力して奪還した大量破壊兵器EPSを彼女に渡す。昔の恋人と彼女が生んだ赤子の息子を人質に取られていたからで、その後もロシアの大臣が持つ核ボタンを奪う羽目になる。

最初の大きな見せ場がここで、ハッキングしてコンピューター搭載の自動車を事実上の武器とするアイデアなど、現実に起きたら大変だと思わせつつ大いに楽しませる。カーアクションは実演が多いこのシリーズだが、ここは多分相当加工もされているだろうと推測。
 ここで主人公はこっそり後段の布石である細工を施していて、サスペンス映画としても面白い。

かくして、後半は官憲ホブス(ドウェイン・ジョンソン)を筆頭とするファミリーの面々がロシア原潜をサイファーに悪用されることを阻止する為に大活躍、その一方でドムを自由にする為に赤ん坊を奪還しようと呉越同舟的悪漢デッカード(ジェイスン・ステイサム)が孤軍奮闘する。

ここでは原潜の潜む氷原でのカー・アクション(邦題の由来)は迫力満点ながら、並行して進むステイサムの白兵戦になると途端にカメラを揺らし始めるので、ベテラン監督F・ゲイリー・グレイもまだこんな手法に拘るのかと興ざめる難点あり。カット割りも細かすぎてアクションが解りにくい。

もっと大きな難点はファミリーが三つに分かれ余りに目まぐるしくて何がどうなっているか解らないところが幾つかあることだが、細かな状況を理解しつつ楽しむタイプの作品ではないので、実際には問題にするには及ばない。これを解るように作ってじっくりスピード感を失うよりは良いだろう。見せ場を惜しまずに出しているのを何より評価したい。

この作品は中国の資本も入っているが、米中の関係を慮るに今後減ってくるかもしれないですな。ハリウッド映画がロシアを悪役としない傾向も既に終わった感じがある。

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