古典ときどき現代文学:読書録2018

新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 今年も、最初の記事は、古典三昧のわが読書の記録。リストをどんどん潰しているので、段々地味になってきて、皆さまのご存じない作品が多いかもしれませんが、これでも文学年表と眺め百科事典を見る趣味のある方にはお馴染みの作品ばかりなのですよ。

 長い為に未読として残っていた小説のうち、本当に長いものは年初に読んだ「チボー家の人々」くらい。僕らの世代にはバイブル的な大河小説で必読と言われたものですが、最近はそうでもないらしい。とにかく長くて13分冊、凡そ一ヶ月かかりました。全部を読めばもっと長い「善意の人々」は日本で読める部分を全て読み、英国の古典「トム・ジョウンズ」も通常の小説よりは大分長い。しかし、他のも決して短くはないのです。日本の純文学は短くて良いわあ(笑)。

 小説ではないですが、哲学書「存在と時間」も一ヶ月くらいかかりました。結局未完に終わってこの長さですからねえ。本年は関係作品とも言えるサルトル「存在と無」を読む予定。サルトルの内妻ボーヴォワールの女性学書「第二の性」が昨年最もインパクトのあった作品かもしれません。

 長いものばかり読むとリストが寂しくなるので、戯曲で数をこなす。日本の浄瑠璃・歌舞伎作品も大分読みました。作者名の後に(原作)とあるのは、浄瑠璃を歌舞伎化した作品すなわち丸本歌舞伎と言われるものの台本。その他古今東西の戯曲をかなり。

 近世(江戸時代・清朝)およびそれ以前の中国と日本の古典は予定ほど読めず。中国古典の中でも最優先と考えていた「文選」はごく一部読み終え、残りは本年。まだまだいっぱいありますねえ。日本の古典は原文で、中国の古典は読み下しで読むので、どうしても時間がかかってしまいましてね。

 年の後半は映画化されたことのある小説を多く読み、その中に「八日目の蝉」という僕にしてみれば異様に新しい作品があります。“ときどき現代文学”の名に悖らず良かったと思います。「愚者の船」はベテランの映画ファンならお解りのように「愚か者の船」の原作。原作を読んだ直後に映画を再鑑賞するという試み(「リプリー」⇔「太陽がいっぱい」に始まる)も幾つかあり、今年も可能であれば続けたいですね。

 あらましはこの辺で終わりにしましょう。お読みになったことのある作品は幾つかありますか?


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ロジェ・マルタン・デュ・ガール
「チボー家の人々:灰色のノート」… ジャックが同級生ダニエルと中二病的な衝動で家を飛び出す
「チボー家の人々:少年園」… 連れ戻され父の経営する少年院で更生したふりをするジャック
「チボー家の人々:美しい季節」… ジャックと兄アントワーヌを中心とした恋模様
「チボー家の人々:診察」… アントワーヌ、医療に伴う良心の問題に悩む。父、重病に陥る
「チボー家の人々:ラ・ソレリーナ」… 行方をくらましたジャックをスイスに発見し連れ戻す兄
「チボー家の人々:父の死」… 父死す。人間は究極的に個人としてのみ行動できるや?
「チボー家の人々:一九一四年夏」… アントワーヌは個人として行動できず出征、ジャックは個人主義者として平和を画策する。大衆の愚かしい戦争観は全くその通りと思う
「チボー家の人々:エピローグ」… 最終的に浮かび上がるのは、作者の反戦への思い。お疲れさま

竹田 出雲(二代目)、三好 松洛、並木 千柳(宗輔)
「義経千本桜」… 偽装を随所に使って誠に面白く誠に情緒溢れる浄瑠璃の名編。傑作です


アナトール・フランス
「舞姫タイス」… 踊り子を浄化した聖人がその代償として清浄を失っていく。皮肉な人間観が凄まじい

杉田 玄白
「蘭学事始」… 前野良沢と玄白あって蘭学あり、明治維新に繋がるのであろう

真山 青果
「玄朴と長英」… 今風に言うと、個人主義(玄朴)と全体主義(長英)の激しい論争の巻
「元禄忠臣蔵」… 上野介制裁前後の大石内蔵助の心理を丹念に掘り下げた力作。感銘した

ウィリアム・シェークスピア
「リチャード三世」… 五幕史劇。話も面白いが、名台詞の多さで右に出る者なし、の印象強し

土岐 哀果(善麿)
「NAKIWARAI」… 三行体の嚆矢。しかもローマ字。しかし、歌自体は叙情的で素朴

ジョン・ウィンダム
「トリフィドの日」… 映画版「人類SOS」のように殺人植物と流星群を結び付けた方が良かったような

アウグスト・ベーベル
「婦人論」… 女性の歴史と当時の立場を語る前半は面白い。後半は婦人論をたてに社会主義の桃源郷的未来を語り過ぎ、興ざめ

坪内 逍遥
「当世書生気質」… 意気込みほど戯作気分抜け出ずも、通俗的な面白味高し

アンリ・ド・モンテルラン
「若き娘たち」… 面倒くさい女性ファンに困惑する作家の姿。女性蔑視と言うが、何とも言えない

与謝野 鉄幹
「亡国の音」… 現状(明治中頃)の歌壇を徹底的に論難する。その激しさが気持ち良いくらい

ルース・スタイルズ・ガネット
「エルマーのぼうけん」… 小学低学年向けの児童文学。僕は最近まで知りませんでした

山本 常朝
「葉隠」… “武士道と云うは死ぬ事と見つけたり”が戦時中に悪用されたようだが、人生訓として現在でも通用する部分が少なくない。良い面だけを活用すれば封建主義は必ずしも悪くないと思っている

森田 草平
「煤煙」… 作者と若き平塚雷鳥の心中未遂事件までを描く自伝的小説。これに反感を覚えて雷鳥は「元始、女性は太陽であった」を書く。師匠の漱石は「それから」の中で批判しているが、文章は巧い。

ウィリアム・ゴールディング
「蠅の王」… 子供に本質的にある残酷性を表現しているのだろう。所謂児童文学ではないですね

津村 節子
「玩具」… 夫婦間の感情の断絶を描いて秀逸。第五十三回芥川賞受賞作

高井 有一
「北の河」… 日本的美学の喪失を母親の死に見出す作者の自伝的小説

丸山 健二
「夏の流れ」… 死刑に立ち会う刑務官の日常と仕事の間の対照。刑務所の描写は良いが…

ベルトルト・ブレヒト
「肝っ玉おっ母とその子供たち」… 子供たちを戦争に巻き込むのを嫌いながら戦争で儲ける母親の矛盾。戦争批判の物語でござる
「セチュアンの善人」… 善人が悪を偽装しないと生きられない世界の不条理。主人公はシェン・テ(善)

吉屋 信子
「良人の貞操」… 不貞を通し、男尊女卑が歴然とあった時代に男性優位社会を暗に批判する

ゴットフリート・アウグスト・ビュルガー
「ほらふき男爵の冒険」… 実は昔からあるほら話の集大成的な作品。星新一もパロディを書いたね

木戸 幸一
「木戸幸一日記」… 日本が戦争へ雪崩れ込んでいく様子を知る上で重要な第一級資料

ロマン・ロラン
「愛と死との戯れ」… 恐怖政治時代のフランスを背景にした夫婦と男女のヒューマンなドラマ。傑作


幸田 露伴
「天うつ浪」… 露伴随一の長編は意外と大衆的。未完で、この後予想もできない展開になる筈だったらしい

カール・ヒルティ
「眠られぬ夜のために」… キリスト教の形式的なところを批判している為に押しつけがまさが少なく、箴言として記憶しておきたいものが多い

久保 栄
「五稜郭血書」… 史劇。いずれも庶民の味方のふりをする組織の権力争いに翻弄される庶民の哀れ

ジャン=ポール・サルトル
「恭しき娼婦」… 米国が舞台の戯曲。ヒロインは弱者の寓意か? そして浮かび上がる黒人の悲劇

「汚れた手」… 戯曲。共産主義に親近感を感じながらその教条主義を批判する。理想的人物の皮肉な末路
「壁」… 政治死刑囚に訪れる運命の皮肉にびっくり。好短編

谷崎 潤一郎
「卍」… 男女四人によるコン・ゲーム的四角関係。昭和初頭に同性愛要素を交えたのは新鮮。谷崎は大変変態、略して大変態(笑)

ジョン・ディクスン・カー
「夜歩く」… ポーとルルーとを併せたような怪奇ミステリー。バンコラン判事もの

Tobias Smollett
"The Expedition of Humphry Clinker"… kindleで少しずつ4か月かけて読む。タイトルにあるハンフリー・クリンカーは主人公にあらず。旅行中の初老紳士ブランブルの手紙を中心にした書簡体小説。古い英語以上に、女中の出鱈目な綴りの文章は読むのに難儀。当時の風俗が解って面白い

夏目 漱石
「三四郎」(再)… 三四郎が恋する美禰子は平塚雷鳥がモデルらしい。日本初の教養小説という評価も解る
「それから」(再)… 主人公・代助の愛する女性を救うための必死の決意が胸を打つ。漱石の中でも好物
「門」(再)… 「それから」の続編のよう。主人公は救いの門に入れず、苦悶する。漱石は益々鬱屈する

パトリシア・ハイスミス
「リプリー」… 「太陽がいっぱい」原作。成程リメイク「リプリー」は原作に近い。主人公トム・リプリーは時代性故に自分で確信が持てないゲイ青年で、結局は女友達への嫉妬が元でリチャードを殺すことになる

源 俊頼(撰)
「金葉和歌集」… 第五勅撰和歌集。幾つか異本あり。いずれも700首前後の収録数。スター不在の印象

アーサー・ミラー
「セールスマンの死」… 落ちぶれた父親の独り言は、メタフィクション仕様なのか?

藤原 顕輔(撰)
「詞花和歌集」… 六番目の勅撰和歌集。収録数最小だが、ベテラン歌人復活でなかなか充実

マルティン・ハイデッガー
「存在と時間」…デカルトは「我思う、故に我あり」と言って存在としての自我に言及するも依然形而上学は神の支配下にあり、ニーチェが「神は死んだ」と言うことで明確に形而上学を神から切り離したと考える。本書を読み、僕が考えてきた、かような哲学と神との関係がもっとはっきりしたように思う。しかし、難解でござる。しかも長い。しかも未完

轟 孝夫
「ハイデガー『存在と時間』入門」… 上で僕の考えたことがほぼ実存主義ということ、と本書を通して知る

フーゴー・グロティウス
「戦争と平和の法:第二巻」… 実は一昨年第一巻しか読んでいなかったのでした。どうもすみません
「戦争と平和の法:第三巻」… 聖書やギリシャ悲劇からの引用が多い。文学以上の証拠価値があるということ

尾崎 士郎
「人生劇場・離愁篇」… 尾崎の従軍日記に他ならない。余り感心せず
「人生劇場・夢現篇」… 戦争末期に出没する女性たちを狸に喩える。青成はシリーズ途中から狂言回し
「人生劇場・望郷篇」… 一旦はこれで完結したように読める。僕の持っている文学事典でもそうなっている

アルベルト・モラヴィア
「ローマの女」… 序盤はサド侯爵を思わせるが、次第に売春婦たるヒロインの屹立した立場が明らかになる

河竹 黙阿弥
「花街模様薊色縫」… 「十六夜清心」として知られる歌舞伎狂言。男女の心中から始まる奇想!
「蔦紅葉宇都谷峠」… 僕が読んだのは「文弥殺し」として知られる一部。運命の皮肉を感じさせる
「勧善懲悪覗機関」… 完全版。主人公・村井長庵は歌舞伎史上稀に見る大悪党なり

ウィリアム・サマセット・モーム
「剃刀の刃」… 主人公はキリスト教より仏教的思惟に傾倒する。映画版はいかにも皮相的だった

ヘンリー・フィールディング
「トム・ジョウンズ」… 血縁を巡る運命の不思議は河竹黙阿弥の歌舞伎みたい。国が違ってもということか

文耕堂、長谷川 千世(原作)
「梶原平三誉石切」… 筋書より役者の格で見せる演目(by Wikipedia)らしい。未だそこまで解らない
「源平魁躑躅」… “げんぺいさきがけつつじ”。女装した平敦盛の代わりに臣下が娘を殺す。後味悪し
「鬼一法眼三略巻」… 平家側の親が牛若丸に恋した娘に託す形で源氏に虎の巻を渡す。こういうのは良い
「檀浦兜軍記」… 景清もの。彼の妻阿古屋の無罪が明かされる方法とは?(笑)

文耕堂、三好 松洛(原作)
「敵討襤褸錦」… “かたきうちつづれのにしき”。一段しか読めなかったが、映画にできそうな設定
「御所桜堀川夜討」… 弁慶が初めて会う娘を名乗る前に後ろから殺す。胸を打つが、後味も良くない

文耕堂、三好 松洛、竹田 小出雲(原作)
「新薄雪物語」… 花見の場面は、中国の「紅楼夢」を思い出させたりもします。後半はサスペンスフル
「ひらがな盛衰記」… 文耕堂は源平がお好き。これは「源平盛衰記」に取材。後味が良い方

竹田 出雲(原作)
「蘆屋道満大内鑑」… 「義経千本桜」と同じく狐の愛情に胸を打たれる

並木 宗輔(原作)
「和田合戦女舞鶴」… 主君関係者が身代わりの為に子供を自害に追い込む。封建制度sucksだよ
「苅萱桑門筑紫轢」… “かるかやどうしんつくしのいえずと”。出家した親と子の名乗れぬ再会は胸を打つ

ジョルジュ・シムノン
「雪は汚れていた」… 死刑になる若者の厭世。シムノンは「罪と罰」を意識したのかもしれない

ゴットホルト・E・レッシング
「ハンブルク演劇論」… 僕の映画観に通ずるところが多い。現在と全く違う環境を考えると、先進的

芥川 龍之介
「玄鶴山房」(再)… 甲斐甲斐しく仕える一家の不幸を内心期待する看護婦の設定が鬼気迫る。傑作
「地獄変」(再)… クレイジーな平安時代の画家のお話。壮絶ですなあ
「文芸的な、余りに文芸的な」… 谷崎潤一郎との“話らしい話のない小説”論争をめぐる文学論
「奉教人の死」… 芥川は小説家としてキリスト教を愛していたのだ。最後はどんでん返し
「西方の人」… キリスト教に救いを見出せない芥川の自死直前の心境が反映されるキリスト教批判

シンクレア・ルイス
「アロウスミスの生涯」… 功利主義に抵抗する青年細菌学者の遍歴。アメリカ版バルザックの感あり

森 鴎外
「舞姫」(再)… 主人公に友人を責める資格はない。名文なれど後味悪し
「高瀬舟」(再)… 安楽死の問題。今となっては、寧ろこちらのほうがぐっと来る
「阿部一族」(再)… 殉死はつくづく馬鹿らしいと思う。鴎外の歴史小説のスタイルは後年に影響を与えたね
「うたかたの記」… ルートヴィヒ2世の謎の死をモチーフに、その陰で死んだ少女の不思議な物語

フーゴ・フォン・ホフマンスタール
「痴人と死と」… 鴎外の訳が格調高い。死ぬ時に自分の生を知るが故に主人公は痴人とみなされる

ウラジーミル・マヤコフスキー
「ズボンをはいた雲」… ソ連初期を代表する詩人の長詩。革命的エネルギーはあるが、解らない世界

水上 滝太郎
「大阪の宿」… うわばみと綽名される芸妓の描写が抜群に面白い。一種のサラリーマン小説

ジュール・ロマン
「善意の人々:十月六日」… 並行的に進行する大群像劇の始まり始まり。一巻に複数の主人公を配す
「善意の人々:キネットの犯罪」… 製本屋キネットが匿った殺人犯を殺し、警察に挑む。心理学的に興味深い
「善意の人々:幼き恋」… 全体で中心人物らしい学生ジャレの恋愛心理が中心
「善意の人々:パリのエロス」… 27巻のうち和訳はここまで。並行描写を意識しすぎて散漫ではないか?

フリードリッヒ・シラー
「たくみと恋」… 喜劇的な設定なのに「ロミオとジュリエット」ばりの悲劇に終わる。結構壮絶

太宰 治
「津軽」(再)… 紀行文風自伝小説。結局は育ての母とも言うべき子守との再会を言いたかったのだな
「右大臣実朝」… 語り手に歴史を語らせる手法は谷崎潤一郎辺りの影響か? 太宰の歴史小説というのは余りピンと来ない。暗殺された実朝をキリストに重ねているという説もあるが
「ダス・ゲマイネ」… 太宰治という新人作家を脇役に使うところなんざ洒落ていまさー

ダシール・ハメット
「影なき男」… 映画版は夫婦探偵ぶりが強調されていたなあ。文体はいつも通りハードボイルド

キャサリン・アン・ポーター
「愚者の船」… 出て来るドイツ人は皆全体主義者。1931年は実際こういうムードだったのかもしれない

作者不明(原作)
「桜鍔恨鮫鞘」… “さくらつばうらみのさめざや”。妻や義母の真意を知らず斬り殺す元武士の悲劇
「壺坂霊験記」… “妻は夫をいたわりつつ、夫は妻に慕いつつ”と歌われる浪曲の元ネタ

近松 半二、三好 松落、竹田 文吉、竹田 小出雲、八民 平七、竹本 三郎兵衛(原作)
「関取千両幟」… ライバル力士が芸妓の身請けを代理で争う変わり種

菅 専助(原作)
「桂川連理柵」… “かつらがわれんりのしがらみ”。幕切れの道行きが腰砕けだなあ

山田 案山子(原作)
「生写朝顔話」… “しょううつしあさがおばなし”。世話もので、全編通して感じが良いのが良い

三好 松落、吉田 冠子(原作)
「恋女房染分手綱」… “こいにょうぼうそめわけたづな”。乳母・重の井の子別れが胸を打つ

イアン・フレミング
「007/カジノ・ロワイヤル」… スパイの私生活を描くのは原作由来でした。映画版に比べぐっと単純

亀井 勝一郎
「大和古寺風物誌」… 一度行った奈良の風景が鮮烈に脳裏を過る。わが琴線に触れる名文


太田 牛一
「信長公記」… 日本人が残忍でないなんてやはり嘘だなあ。目撃した著者が直視できないと何度も言う

小瀬 甫庵
「信長記」… 資料性が低いと言われる理由がよく解る。儒教的説教をしたかったのだろう
「太閤記」… 戦闘場面では詳細になればなるほど“講釈師見てきたような嘘をつき”の感が強くなる。「書経」「春秋」など中国の儒教的歴史書の影響が大ですな

ゲオルク・カイザー
「カレーの市民」… ロダンの有名な彫像と同じ素材。14世紀の実話から浮かび上がらせる反戦
「朝から夜中まで」… 戯曲で読んでもシュールだが、映画版は日本でも話題になった表現主義作品

桐野 夏生
「とめどなく囁く」… 新聞小説。死んだはずの夫らしき人物が出没。謎多き心理サスペンスといったところか

シモーヌ・ド・ボーヴォワール
「第二の性」… 女性学のバイブルですな。抜群に興味深く、男性なればこそ影響を受ける。今後この本を思い出しながら小説や映画に触れることになるだろう


石井 桃子
「ノンちゃん雲に乗る」… 臨死体験する少女のお話。珍しいアングルの児童文学ですね
「三月ひなのつき」… シングルマザーの愛情に泣かされますねえ

江戸川 乱歩
「吸血鬼」… 序盤は子供向けのよう。後半徐々に淫靡性を高め、大人向けサスペンスになってくる
「孤島の鬼」… ウェルズ「ドクター・モローの島」の影響大。後半は“乱歩の異常趣味がまた出た”てな感じ
「空気男」… 多分全体の十分の一くらいのところまでしか書かれていない未完作
「恐怖王」… ミステリー度は低いが、ポーの「モルグ街の殺人」に触発されたか?

トーマス・マン
「ブデンブローク家の人々」… 凋落の一途をたどる商家四代の物語。長いけれど面白い

井伏 鱒二
「黒い雨」… 被曝・被爆した人々の描写に言葉もない。本作の凄味はそれに尽きるだろう

大城 立裕
「カクテル・パーティー」… 返還前の沖縄の問題を浮き彫りにする芥川賞受賞作。50年経っても・・・

柏原 兵三
「徳山道助の帰郷」… 元中将の老境に至った際の罪悪感? 前半凡庸も後半に至って凄味が出て来る

ヨーハン・A・クルムス→杉田 玄白(原訳)
「解体新書」… 中身は今となっては大して意味がないが、その熱意に胸を打たれる

角田 光代
「八日目の蝉」… 誘拐を通して浮かび上がる母性礼賛。男性がいかん。世の男性に代って謝ります

ヴィクトル・ユゴー
「ノートルダム・ド・パリ」… 心と外見の一致しない人々が織り成す悲劇。アニメ版と違う幕切れがやりきれない

梁明太子(撰)
「文選:詩編」… 約400篇ほど。詩想的には同じようなものが多いが、とにかくやっと読みました

ジョルジュ・ベルナノス
「田舎司祭の日記」… 現代の聖人は周囲の人間に非難される。ブレッソンが実際に映画化しているが、ブレッソンの如くストイックな文章

韓 邦慶
「海上花列伝」… 清朝の花柳小説。拳酒、アヘン、麻雀、痴話喧嘩が延々と繰り返される。風俗は興味深いが

石坂 洋次郎
「若い人」… 煩悶する青年教師。純文学風の通俗青春小説かはたまた通俗小説的内容の純文学か? 心理の描き込みが圧巻

モーリス・メーテルリンク
「青い鳥」(再)… 平凡な日常に幸福があるというお話。“足るを知る”ということでもある

ウィリアム・フォークナー
「響きと怒り」…“意識の流れ”を取り入れた小説。前半は精神の混沌とした人たちのそれだから時系列も常時前後し、相当難解。あるアメリカの一家の没落を描いていると言うが、厄介ですよ、こりゃ。
「兵士の報酬」…解りやすいと言われるデビュー作で映画にもできそうだが、結構不親切

坪田 譲治
「風の中の子供」…映画と大体同じ。子供が主人公なれど、視線の先には大人の世界の矛盾がある
「お化けの世界」…「風の中の子供」の原型たる短編。“善太・三平もの”

ルー・ウォーレス
「ベン・ハー」…キリストの重要性を別にすると、ワイラー映画版は忠実に映画化している。映画的な描写なので映画化がしやすい小説と思う

浅田 一鳥、浪岡 鯨児、並木 素柳、豊竹 甚六(原作)
「倭仮名在原系図」…“やまとがなありわらけいず”。業平の弟の話。部分的に読んでもよく解らないなあ

千蕗荘主人(原作)
「義経腰越状」…“よしつねこしごえじょう”。実は徳川家のお話らしい。酒を無理に飲ませるのが見せ場

竹田 出雲、吉田冠子、中邑 閨助、近松 半二、三好 松落(原作)
「小野道風青柳硯」…“おののとうふうあおやぎすずり”。道風が読み書きできないという設定に絶句

中村 阿敬、豊竹 応津、黒蔵主、三津 飲子、浅田 一鳥(原作)
「祇園祭礼信仰記」…実は織田信長に関するお話。足で書いた鼠が縄を切るところが一番の名場面

若竹 笛躬、中邑 阿契(原作)
「卅三間堂棟由来」…“さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい”。異類婚姻譚。母は柳の霊なのでした。悲し
「嬢景清八嶋日記」…「俊寛」ものに近い内容と味。“むすめかげきよやしまにっき”

福内 鬼外こと平賀 源内(原作)
「神霊矢口渡」…“しんれいやぐちのわたし”。南北朝ものだが、恋心の壮絶さがテーマのよう

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この記事へのコメント

2019年01月18日 09:08
映画で見た、というのは、いくつかあります…。
カーの「夜歩く」や漱石、乱歩は読みました。
海外の作品は長いものが多いので、図書館で借りるときに、ちゅうちょします。なにしろ返却日が決まっているので…。結果、読みやすそうなものを選んでしまいます。
難しそうな本は挫折しそう、ということもありますね。
オカピー
2019年01月18日 18:11
ボーさん、こんにちは。

昨年のリストでは、なかなか読まれている作品は少ないと、僕自身も思いますね。
漱石、鴎外、芥川、太宰あたりは再読ですので、読書好きなら読まれている作品ばかり。

>海外の作品
全く仰る通り、大陸的と言うか、長いですよね。
 僕の場合読み終わらければ再度続けて借りますが、通常そうならないように調整しますね。ボーさんに比べて、僕さん(笑)は時間がありますから。最近は、書庫から借りることが多いこともあって、ネットで予約してから図書館に行きます。相当時間が短縮できます。

>挫折
随分挫折しかけることがありますが、一度読み始めたものは最後まで読む。根性だけは人一倍あります(笑)

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