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zoom RSS 映画評「パターソン」

<<   作成日時 : 2018/11/02 09:18   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2016年アメリカ=フランス=ドイツ合作映画 監督ジム・ジャームッシュ
ネタバレあり

ジム・ジャームッシュの新作は、ピンと来なかった前作「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ」に比べ非常に心地よい作品である。

場所はニュージャージー州のパターソン、主人公はバス運転手のパターソン(アダム・ドライヴァー)。愛妻ローラ(ゴルフテニ・ファラハニ)の横で起き、会社へ行ってバスを運行、夕方帰宅すると愛犬を散歩に連れ出し、時にバーに立ち寄り、就寝する。毎日同じような日々の、その狭間に詩を秘密のノートに書き留めている。
 日常をアート的に捉える妻はギターを買ってカントリー歌手になろうと思ったり、白黒の美しいケーキを売ったり、それが彼の詩心を刺激する。
 しかし、二人で戦前のモノクロ映画(H・G・ウェルズのSF小説「ドクター・モローの島」の映画化「獣人島」と地元出身ルー・コステロ主演「凸凹フランケンシュタインの巻」)を見た後、自宅に戻り彼のノートが愛犬に喰いちぎられているのを見てがっかり。
 翌日ベンチで黄昏ていると、詩人らしい日本人(永瀬正敏)に声を掛けられて暫し会話を交わし、最後にブランクのノートを贈られる。彼は詩の神様かもしれない。

映像詩とは少し違うが、全編詩のような映画だから、僕のように詩心がない人間にはうまいこと語れない。

冒頭細君が双子の夢を見たと言い、これが幸福の象徴であるかのように、バス運転手詩人は双子をバスの中に、或いは道路の上に見出すのである。街角で出逢う少女詩人も双子で、しかも運転手詩人を刺激するなかなか鮮烈な詩を披露する。このように色々な符丁が全編に散りばめられているのが実に詩的である。

細君は白と黒の意匠がお気に入りのようで、着用する衣服は勿論ケーキもギターも白黒のパターンで構成され、これもまた面白い効果を上げている。

主人公が歩く場面はジャームッシュお得意の横移動で捉えられ、酒場で流れている音楽も例によって渋い。優しい映画と言うべし。

パターソンに住むパターソン氏というのも面白いが、そのパターソン氏の職業がバス・ドライヴァーで演ずるのがアダム・ドライヴァー。完全に韻を踏んでいる。あなおかし。

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パターソン
アメリカ・ニュージャー州パターソン市。 バスの運転手をしている男パターソンは妻ローラと愛犬マーヴィンと暮らしている。 仕事が終わると真っ直ぐ家に戻り、犬の散歩、そしてバーで1杯飲むのが日課だった。 詩を愛するパターソンは、自分でもノートに詩を綴っている。 一方、妻はバザーに出すカップケーキ作りに夢中だった…。 ヒューマンドラマ。 ...続きを見る
象のロケット
2018/11/02 13:38

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
出来のわるいの、やたら荒ぶった映画を
観た後にこういうポアンとした静かなのに
出会うとココロが真っ直ぐになりますわ。
期待薄でしたが観て正解。とても良作。

立ち寄るバーで、恋が実らない知人を
瞬殺するかのような動きを見せましたね。
パターソンは静かでもあるけれど
意志に忠実で強いのだと感じました。

私も前作は、何をいわんとしてるのか
わからないままでございました。(ーー);
vivajiji
2018/11/02 16:16
vivajijiさん、こんにちは。

最近は、邦画もアメリカ映画もメジャー映画は表面的な刺激性だけは強い映画が多く、げんなりしますね。
僕も、前作が“あれ”でしたので、どうかなと思って観始めましたが、一時期のジャームッシュが戻った内容で、良かったです。

>瞬殺
どうも帰還兵という布石が何処かであったようですが、僕は見落としました。
結構鍛えられた軍人だったようです。
静的な中ほぼ唯一と言っても良い動的な場面でしたね。
オカピー
2018/11/02 21:54

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