プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「キングスマン:ゴールデン・サークル」

<<   作成日時 : 2018/10/19 09:14   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 4 / コメント 2

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2017年イギリス映画 監督マシュー・ヴォーン
ネタバレあり

残酷味をユーモアで相殺してパロディー感覚のスパイ映画として楽しませてくれた「キングスマン」の続編で、監督はマシュー・ヴォーンの続投。

円卓の騎士を気取る英国私設特殊機関キングスマンのエージェントとなったエグジー君(ターロン・エガートン)が懇ろとなった王女の両親(王様と王妃ですな)と過ごしている最中、東南アジアの森林地帯に佇立する麻薬組織の攻撃を受けてエグジー以外のエージェントが全滅してしまう。もう一人編成係のマーリン(マーク・ストロング)が生き残る。
 二人は万一の時の為に用意された方策に従ってアメリカに飛び、同じような私設機関ステイツマンの面々と接触し、そこで、前作で死んだはずのハリー(コリン・ファース)を記憶を失った状態ながら発見、エグジーは彼の記憶を蘇らせるのに成功する。
 麻薬組織を率いるジュリアン・ムーアがアメリカ大統領に宣戦布告、「商品(麻薬)に特殊な毒を忍ばせたので、救いたくば全ての麻薬を解禁し、かつその売り上げの一定率が当方へ流れる仕組みを構築せよ」と告げる。大統領は麻薬使用者を全滅させたいので、言うことを聞くような振りをして組織を破壊する作戦を取る。
 エグジー君たちは毒の蔓延というタイム・リミットと闘いながら組織の本部に接近するが、そこへ思わぬ邪魔が入ってくる。

前作はとにかく新味があり、強烈なブラック・ユーモアとパンチのある描写で相当楽しんだが、今回はアクションのパンチは維持されながらも、二番煎じであることとお話そのものの完成度の差で、面白味は大分減った。序盤でロキシーなどのキングスマンのメンバーが消えてしまうのも残念。簡単にメンバーを殺してしまうのがこのシリーズの悪いところである。反面、ハリーに見るように実は…という奥の手がないでもない感じがするが、さすがに爆弾で吹き飛んでしまったロキシーやマーリンにハリーのケースは求められまい。

VFXの駆使の仕方は圧倒的で、面白い映像を見たい人にはお勧めだが、純粋に映画の画面として圧倒される映像かと問われると慎重にならざるを得ない。面白い画面ではあっても圧倒されるというのとは少し違う。アナログ派の僕はアングルを変えながらも途切れない本作のめくるめくワン・ショットより、例えばヒッチコック老「フレンジー」の開巻部分、空撮から死体発見に至るワン・ショットに度肝を抜かれる。VFXではショット構成はほぼ自在なので、心理学を加味して考える時、何でもできるわけではないアナログ時代の凄味に及ばないのである。

心理と言えばジュリアン・ムーアの作戦は首を傾げさせる。中毒性のある物は解禁すると却って儲からない筈だからである。禁酒法がギャングを太らせ、逆にオランダなどで暗黒街に儲けさせないように一部麻薬を解禁したという事実がある。昨日のニュースでもカナダが薬用に続いて嗜好用大麻も合法化した。眼目は暗黒街対策である。絶対量が多ければ確かに儲かるが、テロを続けない限り約束は反故にされる可能性が高いなど、色々と疑問が残る。

音楽とのコラボレーションが楽しい本シリーズでは、前作の「フリー・バード」Free Bird に相当するのがエルトン・ジョンの「土曜の夜は僕の生きがい」Saturday Night's Alright for Fighting。彼がジュリアンに監禁された本人役で出演して色々と活躍するパロディー感覚は楽しいが、「フリー・バード」には及ばない。その前のジョン・デンヴァー「故郷に帰りたい」Take Me Home, Country Road の使い方は面白いものの、「土曜の夜は僕の生きがい」とバッティング(競合)して効果が相殺された感がある。一点豪華主義で行った方が良い。

007を意識した部分も相変わらず多く、雪山の施設は「女王陛下の007」を思い出させ、その後に続くパラシュートにおけるアメリカの国旗は「私を愛したスパイ」での英国国旗パラシュートのパロディー。こういう作品を楽しむには昔の映画を知っていた方がお得という次第。

聴きどころは、エルトン・ジョン・デンヴァーでした。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(4件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
キングスマン :ゴールデン・サークル
キングスマンは、世界的麻薬組織ゴールデン・サークルの攻撃によって壊滅した。 残されたエージェントのエグジーとメカ担当のマーリンは、バーボン・ウイスキーの蒸留所を経営するコテコテにアメリカンな同盟スパイ組織ステイツマンと手を組むことに。 一方、ゴールデン・サークルのボス、ポピーは、驚愕の陰謀を始動させていた…。 スパイアクション第2弾。 ...続きを見る
象のロケット
2018/10/20 00:27
「キングスマン:ゴールデン・サークル」
ごめん、ちょっと飽きたかも。 ...続きを見る
或る日の出来事
2018/10/20 19:41
「キングスマン ゴールデン・サークル」
今年一番最初に観る作品はこれにしようとだいぶ前から決めていた。前作の「キングスマン」が大変面白かったことと、何と言っても愛しのチャニング・テイタムが出演しているから。年初めを大好きな俳優を観て迎えるのは、眼福以外の何物でもない。だけど…。まあ、面白かった。だが、期待した程では無かった。っていうか、期待外れだったことは否めない。チャニング・テイタムも私基準ではあんまり活躍していなかったし(でも次回作があったら彼はあの人の代わりになるんだろうね〜、そんな終わり方だった)。「キングスマン」としての荒唐... ...続きを見る
ここなつ映画レビュー
2018/10/21 22:29
『キングスマン:ゴールデン・サークル』('18初鑑賞02・劇場)
☆☆☆★− (10段階評価で 7) 1月6日(土) 109シネマズHAT神戸 シアター8にて 12:25の回を鑑賞。 2D:字幕版。 ...続きを見る
みはいる・BのB
2018/11/05 14:01

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
おっしゃっる通りで、使えるはずの登場人物殺しすぎですよね...

次があれば、持ち直しに期待したいと思います!
onscreen
URL
2018/10/20 07:25
onscreenさん、こんにちは。

>使えるはずの登場人物殺しすぎ
「ソウ」シリーズが、脚本上のミスを利用して続編を作ったのを思わせる作劇ぶりです。

>次
今度はステイツマンと組むことになるでしょうが、目まぐるしいシリーズですよね。
オカピー
2018/10/20 21:18

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「キングスマン:ゴールデン・サークル」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる