プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「アフターマス」

<<   作成日時 : 2018/08/07 10:57   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年アメリカ=イギリス合作映画 監督エリオット・レスター
ネタバレあり

世間の人は柔軟に映画を観るという癖がないものだから、本作や「マギー」といった作品では、“アーノルド・シュワルツェネッガーの無駄遣い”といった意見が多くなりがちで評価が上らないが、僕は寧ろシュワを使ってアクションをさせないところに面白味を感じるのである。しかも、最近彼は滋味を感じさせるような表情が出せるようになり、俳優としては知事になる前よりずっと成長しているのではないか。

妻と妊娠中の娘が母国(?)ウクライナから戻ってくるのを楽しみにしていた労務者シュワルツェネッガーが、航空関係者からその飛行機が空中衝突し生存者はいない模様と告げられる。
 彼が堪えられないのは事務的に処理すれば満足であろうという航空会社側の態度で、不運が重なって事故の原因を作った管制官スクート・マクネイリーに謝って貰いたいが故に、姿を消し偽名で暮らしている彼を探し出そうと女性記者に接近する。彼女から居場所を聞き出した彼は謝罪を要求するが拒否されてカッとなり妻子の前で刺し殺してしまう。
 十年後情状酌量で早めに出られたシュワは墓参した時に不審な若者に出会う。被害者の息子と判る。若者は彼の頭に銃を突きつけるが、そのまま去って行く。

実話を基に作られた作品だが、18世紀の劇作家レッシングが言うように、フィクションは“誰にも知られていないだけの実話かもしれない”わけだから、それはどうでも良い。

この映画に出てくる人物はいずれも被害者である。悪党的な位置にいるのは航空会社であるが、これは映画の主題においてはサブに留まる。あくまで本作は辛い立場の二人の心情を追い、最後には瞬間的に正気を失って加害者に転じた主人公が生かされることによりその負い目に堪えなければならないつらい余生がずっしり後味として残る作り方になっている。抑制されたタッチで二人の人物を接写するのが好もしい。

僕はうっかりこの作品のアウトラインに触れ、シュワが管制官に接近することを知ってしまった。この作品の展開からするとややまずいのだが、これまたレッシングは言うのである、“演劇は第一幕で今後の展開を全て教えてしまった方が、観客にサスペンスを与えてプラスになるくらいである”と。
 この伝で行くと、主人公が管制官に接近するまで観客たる僕は一種の緊張感をもって見続けることになり、実際その通りであるように感じた。

レッシングのこの意見は、“先が解らない映画はつまらない”という僕の愚見と大同小異であり、僕は気を良くして彼の著書「ハンブルク演劇論」を読み終えたのである。

元東京都知事の息子が原発事故に関して「最後は金めでしょ?」と言ったが、多分シュワルツェネッガーが関係者だったなら、彼を殺しただろう。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「アフターマス」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる