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zoom RSS 映画評「スタア誕生」(1954年版)

<<   作成日時 : 2018/08/06 08:53   >>

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☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1954年アメリカ映画 監督ジョージ・キューカー
ネタバレあり

1976年にバーブラ・ストライサンドの主演でリメイクされた音楽ドラマのオリジナル、と言いたいが、本作自体が1937年にジャネット・ゲイナー主演で作られた映画のリメイクである。今年またリメイクが作られた定番的な内容だが、このジュディー・ガーランド版が決定版だろう。三回目の鑑賞。

酔いどれの映画スター、ノーマン・メイン(ジェームズ・メースン)が、コーラス・ガールのエスタ−(ジュディー・ガーランド)の歌のうまさに惚れ込み、自分が所属する撮影所の所長オリヴァー(チャールズ・ビッグフォード)に売り込む。目論見が当たって彼女はミュージカル女優として大成功を収めるが、ノーマンは酔いどれぶりが祟ってスタジオを首になり、堅気になろうとの努力も空しく、彼女の将来を考えて自宅前の海に入水自殺する。

完全なミュージカル映画ではないものの、ジュディー・ガーランドの個性を生かしてたっぷりミュージカル場面が観られるのがお楽しみ。序盤のオーケストラとの場面も楽しいが、劇中劇(ヴィッキー・レスターことエスタ−のデビュー映画)での自伝的な内容を語る長い一幕が素晴らしい。その狭間に置かれるジャズ・ナンバーが純音楽的には白眉、ジュディーの実力発揮の一幕である。
 ミュージカル場面には、彼女の主演映画「イースター・パレード」(1948年)やジーン・ケリー主演の名画「雨に唄えば」(1952年)を意識した箇所もあり、ミュージカル・ファンはニヤニヤするだろう。

今回観たのは従来より20分ほど長いバージョンで、前半にスチール写真を活用した場面が追加されている。オーソドックスな作りの中少々奇妙に見えてしまって良し悪しだが、お得感もあるかもしれない。

お話としては幕切れが圧倒的な感動を呼ぶ。夫ノーマンの存在価値が無にされようとしている中、自分に成功をもたらした恩人への感謝と尊敬の念を込めて、彼女は「ノーマン・メイン夫人です」と世界に向けて名乗るのである。昨今人間の尊厳を軽視・無視する人が多く悲しくなることが頻々とあるだけに、僕は涙を禁じ得なかった。

女性映画には定評があるジョージ・キューカーがやはりうまく構成し、彼の作品群の中でも抜群と言えるような内容になっている。但し、初鑑賞の方は、154分のオリジナルを観た方が良いと思う。

薬害などの問題があったジュディー・ガーランドの復帰作。彼女自身が実に悲劇的な女優で、彼女の人生を振り返った時、本作のノーマン・メインに通じるものがあり、胸が締め付けられてしまう。

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スタア誕生 
エスターは売れない前座歌手。 ある日、大スター、ノーマンと知り合い、映画界入りを勧められる…。 ミュージカルラブストーリー。 ...続きを見る
象のロケット
2018/09/20 21:28

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
これは私もテレビ放映を見ましたが、こんな傑作のフィルムの保管が悪かったなんて会社は何をしていたんだろう? になりました。この映画を観るとミス・ショービジネスと呼ばれたジュディー・ガーランドのすごさが分かって、やはりライザ・ミネリよりこちらの方が上だなと思います(ライザ・ミネリのファンには怒られるかな?)
それと、映画のセットがいいんですね、おしゃれで洗練されてて、主人公の経歴をさっと描いて見せるのもうまいですし、これでジュディー・ガーランドがオスカーを獲れていればよかったのに。
nessko
URL
2018/08/07 00:34
nesskoさん、こんにちは。

>会社は何をしていたんだろう?
ジュディーが作品の中のノーマンのように時間を守らない等色々問題行動があった為に、“坊主憎けりゃ袈裟まで憎い”の式で、作品も干されたのではないでしょうかね。アカデミー賞にも影響があったとか。

>主人公の経歴
劇中劇がヒロインの伝記映画になっているんですよね。

>ジュディー・ガーランドがオスカーを獲れていればよかったのに
上述したように、因果応報的に扱われてしまったようです。
だからこそ、逆に獲らせてあげれば良かったと思いますよ。
オカピー
2018/08/07 21:15

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