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zoom RSS 映画評「新婚道中記」

<<   作成日時 : 2018/08/28 08:40   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1937年アメリカ映画 監督レオ・マッケリー
ネタバレあり

「或る夜の出来事」(1934年)を嚆矢とするスクリューボール・コメディの代表作。個人的には傑作中の傑作である前述作品には大分及ばないと思いつつも相当面白く観る。再鑑賞作品。

新婚気分も抜けきらないうちに夫君ケイリー・グラントはポーカー三昧をフロリダへの旅に偽装し、細君アイリーン・ダンは歌の先生と夜明かしする。彼女は車の故障の為と真実らしきことを言い、同時に夫君のフロリダ旅行が嘘と見破る。かくして不和に陥った細君は夫君に対し離婚裁判を起こして60日後に成立と認められ、その間に早くもオクラホマの金持ちラルフ・ベラミーとの再婚に邁進するが、本音ではグラントを憎からず思っているので、彼が結婚を前提に付き合っているお嬢さまモリー・ラモントの家に乗り込んでご破算にさせてしまう。

スクリューボール・コメディであろうが、ソフィスティケーテッド・コメディであろうが、シチュエーション・コメディでは嘘と誤解を土台にすることが圧倒的に多く、本作もその要素が大いに入っている。夫君は嘘を付き、しかも細君の言った真実を誤解する。しかし、その嘘や誤解がコメディとしての核や推進力になるわけではないから、ビリー・ワイルダーのコメディなどとは仕組みが違うと言わなければならない。

仲の悪い男女が奇行をした末に結ばれるというこのジャンルの定石を知っていれば結末は推して知るべしで、詳細をどう見せるかで面白味が変わってくる。
 本作ではまず犬の扱いが抜群。終盤初めの帽子騒動にこのワンちゃんが大活躍(人間には大分迷惑)、裁判所での犬の扱いも面白い。細君が犬の好きな小道具を使って犬の親権を得るというのがなかなか気が利いている。終盤の鍵のかからないドアでの猫も大いに笑える。

反面、人間様の出入り(文字通りの“ではいり”と、“喧嘩”について掛けている)についてはサイレント時代以来の型に嵌っているところがあり、抜群とまでは行かない。

スター街道の端緒に就いたばかりのケイリー・グラントは適役で、中年になった後年の「シャレード」(1963年)でもこの時代の気分を残している。アイリーン・ダンは個人的に「ママの想い出」(1948年)でのしっとりした演技が印象深い女優で、一部で老け過ぎ(当時39歳)という評価もあるが、大奮闘である。

芸名が近いヒュー・グラントは1990年代以降のケイリー・グラントみたいな感じじゃね。

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