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zoom RSS 映画評「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

<<   作成日時 : 2018/07/07 08:31   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2017年日本映画 監督・廣木隆一
ネタバレあり

現時点では古典しか読まない僕には余り関係ないが、東野圭吾は大人気で旧作でも図書館からなかなか借りて来られない。映画界でも人気でコンスタントに映画化されている。

2012年、三人の少年(山田涼介、村上虹郎、筧一郎)が悪事を働いたその足で商店の廃屋に逃げ込んだところ、シャッターの郵便口が光ったかと思うと一通の手紙が投函される。その店は1960年代から70年代にかけて、店主・西田敏行が悩み相談をしていた“ナミヤ雑貨店”で、三人が店主に代わって手紙に返事を書いてみると、返事の返事が次々とやって来る。

2000年に作られた韓国映画「イルマーレ」の着想に似ている。郵便受けが時間を超える役目を果たすお話で、「オーロラの彼方へ」(2000年)というアメリカ映画の着想を応用したものだった。本作が「イルマーレ」と差別化できるところは、外(1980年、店主が死ぬ直前)と内の時間の流れのスピードが全く違うということである。この辺りが東野の工夫と言って良いのかもしれない。

かくして始まった偽店長の手紙が種々の人々の人生を左右していく。シングル・マザーが産んだ女性、火事になった孤児院から弟を救う代わりに死んでいった歌手(林遣都)に恩を感じて今がある人気歌手(門脇麦)、「未来の想い出」(1992年)のヒロイン同様に未来を知る彼らから指南を受けることで一流の実業家になる女性(尾野真千子)。実は三人が店に籠る前に襲ったのがこの女性実業家で、自分たちの卒園した孤児院を商売にしようとしていると勘違いして嫌がらせの為に襲ったのである。
 全てを結び付けるのが孤児院で、その仲立ちをするような形で登場するのが店長と駆け落ちし50年前に死んた孤児院創設者(成海璃子)。彼女は身分違いの彼と引き離され孤児院創設後に死ぬのだが、彼女の施設と愛した男性への強い思いが全てを引き起こしたのである(と理解できる)。

ご都合主義が多すぎる(特に三人が返事を書く発端)と僕も鑑賞中しばしば思ったし大概の人が思うだろうが、それが寧ろ本作の狙いである。調子よく進まなければならない――調子よく進むことで点であった出来事が線となり、ある強い思いを持つ存在が浮かび上がる、そういう仕組みである。そこに気付かないと評価は伸びないし、実際に気付いている人は多くない。解釈上三人は返事を書いたのではなく、(ある力により)書かされたのである。悪く言えば、“結果ありき”なのである。洋画であれば厭らしい宗教映画と解釈したくなるが、邦画だからそれはない。中途半端にわざとらしいよりこれくらい徹底してくれた方がファンタジーとして作られる意味がある。

そんな内容故に、一見そう見えないものの実は現実感を土台にしている廣木隆一監督らしいところが殆ど感じられないのは残念だが。

題名に”奇跡”ではなく“奇蹟”が目立つ。難しいほうが重そうに感じるということか。変な流行があるね。

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ナミヤ雑貨店の奇蹟
2012年。 幼馴染みの敦也、翔太、幸平の3人は、1軒の廃屋に忍び込む。 そこはかつて店主の浪矢雄治が悩み相談を請け負っていたナミヤ雑貨店だった。 ところが、廃業したはずの店舗シャッターの郵便口から、32年前に書かれた悩み相談の手紙が落ちてくる。 戸惑いながらも、敦也たちは相談者と手紙のやり取りを始めた…。 ファンタジック・ミステリー。 ...続きを見る
象のロケット
2018/08/15 16:15

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