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zoom RSS 映画評「スラップ・ショット」

<<   作成日時 : 2018/06/08 13:48   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1977年アメリカ映画 監督ジョージ・ロイ・ヒル
ネタバレあり

実は1980年頃まで日本でもアイス・ホッケーはTVでよく放映されていて、中高大と帰宅後に(放映は土日)観ることが多かった。王子製紙と西武鉄道が覇権を争っていた頃だ。そんな時代に公開されたアイス・ホッケーをテーマにしたスポーツ映画である。学生時代、東京の映画館で観た。

マイナー・リーグでも弱小で、チームの売り渡しが検討されているという情報を聞いたコーチ(監督)兼選手のポール・ニューマンが、キーパーを怒らせてその隙に得点したり、新たに入ってきた三兄弟のラフ・プレイが人気を博したことにヒントを得て、今話題になっているアメ・フトよろしく、敵チームの暴れ者を潰した選手に賞金を出すとホッケー専門の番組で語り、上々の観客動員に加え、連戦連勝するようになる。
 しかし、やっと面会できた女性オーナーはチームを潰して儲けることしか考えていないのにがっかり。優勝のかかった最後の試合だけはフェア・プレイで行こうとするが結局試合以前の白兵戦状態になる。
 そこへ別居中の妻を見出した平和主義者マイケル・オントキーンが氷上でストリップを始め、誰も唖然として喧嘩は沈静化し、チームも何故か勝利を宣言される。

多くの人がラフ・プレイの連続するこの作品を観て“けしからん”と思うかもしれないが、映画特に喜劇は基本的に物事の象徴や記号であり、額面通りに受け取るのは余りに不器用と言うもの。それでも、実際アイス・ホッケーは全米で人気のプロ・スポーツの中で一番乱闘等が多かったのではないか。最近のことはよく知らない。どちらにしても、本作はまず当時のそうしたアメリカのプロ・スポーツを揶揄ったところがある。

脚本には色々巧いところがあるが、中でも秀逸なのは開巻直後アイス・ホッケーのルールを選手に説明させる箇所で色々な暴力的反則行為が紹介されること。ここで作品の方向性を示すのである。
 それ以降、暴力三昧と下ネタで笑わせ、21世紀のお下品映画を先取っている。基本的には苦手なタイプだが、下ネタは直にそれ自身で笑いを取ろうとしたものではなく、そうした行為をする(男の)馬鹿さ加減を可笑し味として狙っていると思われるし、また、当時この過激さはまずなかったところを加味すると、渋い顔をするには及ばない。

脚本を書いたのはナンシー・ダウドという女性で、女性には平和主義者が多いという通説通り、幕切れで平和主義を示す。また、その手段が(男性の)ストリップというのは、女性ならではの皮肉である。いつものジョージ・ロイ・ヒルの作品タイプとは些か違うが、進め方に淀みない。さすがと言うべし。

アメ・フト事件の監督・コーチの会見は誰がどう見ても嘘そのもの。あの行為は今だから騒ぎになったが、この映画が公開された頃なら、ここまで騒ぎになったか。

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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
これは封切りで見ていますね。あのころは田舎の映画館は二本立て、三本立てだったりしたんですよ。映画観るのがおもしろくて仕方がなかった頃の思い出の一本ですね。はじまりで、選手の奥さんたちが上の方の席から試合みながら、またやってるわよ、とか言ってるの、ジョージ・ロイ・ヒルの世界かなって。なんか男がじたばたやってるのを女が半ば呆れつつでもやさしさを秘めて眺めているんですね。
主人公たちからすると悪役になるオーナーが女だというのは、「メジャーリーグ」もそうでしたね。
nessko
URL
2018/06/08 19:20
nesskoさん、こんにちは。

>封切り
僕も映画館で観たので、本文中に追記しました。再鑑賞と初鑑賞では映画評も多少違ってきますからね。

>田舎の映画館
僕も群馬県出身(東京、埼玉を経て現在また群馬)なので、同じ経験をしています。

>女が半ば呆れつつでもやさしさを秘めて
脚本が女性で、監督が男性だから、そうなるのでは?
そういうところにジョージ・ロイ・ヒルらしさがあったかもしれませんね。

>悪役になるオーナーが女
これも女性が脚本を書いたせいというのもあるかもしれません。男性的なスポーツであればあるほど、女性オーナーは悪役的になるのでしょう^^;
オカピー
2018/06/08 23:16
この映画。いいですねー

>マイナー・リーグでも弱小で、チームの売り渡しが検討されている

まず、この設定がいいです

>コーチ(監督)兼選手のポール・ニューマン

この役もいいです

>キーパーを怒らせてその隙に得点したり

昭和の時代。プロ野球のパ・リーグ。
金田正一氏曰く「乱闘も半分ぐらいはお客さんを増やす為のパフォーマンス

>善人役ばかりのヘフリンには珍しい役柄と評判になりましたね。

そう言うのっていいですよね
蟷螂の斧
2018/06/14 16:33
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>ポール・ニューマン
「暴力脱獄」など反骨精神いっぱいの役がお似合い。この作品の彼は特に良い。

>昭和の時代
先日のアメフトの件は問題ですが、スポーツにおける暴力にも、人々の言動にも寛容な時代でしたね。
僕は、虐めや嘘や、個人の人権を大事にしない人や団体(つまり全体主義者)は好きではないですが、一方、何でもかんでも批判するのも堅苦しくて窮屈。今なら許されないセクハラ・パワハラも尽く許されていた昭和時代が懐かしくなりますよ(こんなことを言うと、怒られますなあ)。

オカピー
2018/06/14 23:04
>結局試合以前の白兵戦状態になる。

これも笑えましたそしてそう言う場面の切り替えも上手かったです

>今なら許されないセクハラ・パワハラも尽く許されていた昭和時代

中庸の得

>女性オーナー

演じた女優の名前は?
蟷螂の斧
2018/06/15 06:20
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>これも笑えました
残念ながら、今の若い人には、なかなかこの手の作品は解らないようですよ。
あの時代、この感覚は受けたのだけどなあ。

>中庸
これに尽きますねえ。
ITやネットの時代になって全てが極端になってしまった。
そのくせ、文章を読む力も書く力もない。文章にまで至らない単語だけのメールを打っているせいではないかという意見が新聞にありましたよ。

>女性オーナー
現時点で不明です。
もう一度見直してお顔をよく確認してIMDbでチェックしてみます。
オカピー
2018/06/15 21:43
>あの時代、この感覚は受けたのだけどなあ。

ラストも良かったです。
凱旋パレード
ポール・ニューマンが元妻(元カノ?)に現住所を教えるかと思ったらそうでもない。
なぜか粋な感じでした

>文章にまで至らない単語だけのメールを打っているせいではないか

その通りです

>現時点で不明です。

スザンヌ(メリンダ・ディロン)あるいはリリー(リンゼイ・クローズ)でしょうか?

さあ、今から童門冬二氏の講演会に行って来ます
蟷螂の斧
2018/06/16 10:18
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>ラスト
元妻の居場所を知りたがっているようにも見えましたが、必要以上に迫らないのが良い感じでしたね。

>女性オーナー
映画を見直しましたら、アニタ・マッケンブリッジと自称していました。キャスリン・ウォーカーという女優らしいですね。

>童門冬二氏の講演会
勉強熱心ですね^^
テーマは何でしたか?
オカピー
2018/06/16 22:06
>テーマは何でしたか?

細井平洲です。そして米沢藩と上杉鷹山の話です。

>キャスリン・ウォーカーという女優らしいですね。

ありがとうございます。
今ウィキの英語版で調べました。
1943年フィラデルフィア生まれ。
テレビでの活動が多いようです

>必要以上に迫らないのが良い感じでしたね。

うまい演出です
蟷螂の斧
2018/06/17 23:06
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>細井平洲
世界史に比べると日本史に疎いので???ですが、上杉鷹山の師匠ですか。歴史小説のネタは尽きませんね。まだまだ読むべきものがあります。

>キャスリン・ウォーカー
メリンダ・ディロンは知っておりますが、この女優は全く記憶ががなかったですね。

>うまい演出
ジョージ・ロイ・ヒルならずとも、当時は大袈裟な見せ方をしない映画が多かった。CG隆盛になって、映画もまた昔に戻ってしまったようです。


オカピー
2018/06/18 22:46
>歴史小説のネタは尽きませんね

昭和2年生まれの童門氏。用意された椅子には座らずに、70分間ずっと立ちっぱなしでマイクを持って話をしていました。すごい

>メリンダ・ディロン

舞台でも大活躍?

>当時は大袈裟な見せ方をしない映画が多かった

そこが監督の腕の見せ所ですね
蟷螂の斧
2018/06/20 07:11
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>童門氏
やはり明確な目標を持っている人は強いですね。

>メリンダ・ディロン
ブロードウェイの「ヴァージニア・ウルフなんか怖くない」で評判になったようですね。きっと映画でサンディ・デニスがやった若い妻役でしょう。

>監督の腕の見せ所
今はコンピューターで勝負できるから、映画が軽い。
 黒澤明監督が「天国と地獄」で撮影に邪魔になる民家を壊させたというのは有名な逸話ですが、今はコンピューターで消してしまう。
 ヒッチコックが苦労して空撮から部屋の中にカメラは入ってしまう芸当も、コンピューターのちょっとした操作で簡単にできてしまう。
 いやはや。
オカピー
2018/06/20 22:30
>やはり明確な目標を持っている人は強いですね。

「人民の為の主君である。主君の為の人民ではない。」という言葉が印象的でした。

>「ヴァージニア・ウルフなんか怖くない」

映画も未見です。そのうちに・・・(こればかり

>撮影に邪魔になる民家を壊させたというのは有名な逸話

さすが黒澤天皇。

>ヒッチコック

彼の苦労も無になりました

昨日、「新幹線大爆破」と言う映画を見ました。
CGがない時代のスタッフの工夫が表れた力作でした
蟷螂の斧
2018/06/23 10:52
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>「人民の為の主君である。主君の為の人民ではない。」
封建時代にも、現在の政権より国民(臣民)のことを考えていた藩主もいたでしょうね。後3年も続くのかなあ。

>そのうちに・・・
それを仕事にしているわけではないですからね^^

>黒澤天皇
ヒッチコックは子供がカメラの前を横切った時「あのガキを殺せ!」と言ったと伝えられますが、これは本当ではないようです。

>彼の苦労も無になりました
まあ場面構成におけるレトリックとして残りましたが。

>「新幹線大爆破」
「スピード」の元ネタになった日本パニック映画史上に残る傑作ですね。作劇的に少し残念なところもありますが、上出来と思います。9年前に映画評を書いていますので、どうぞ。
okapi.at.webry.info/200902/article_2.html
オカピー
2018/06/23 19:41

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